別れてプラス

第1話

　人は集まり、やがて離れていく。

　離れていくのは納得がいかない。同じ人と何年も何年も付き合い続けることが大事だ。そう思う方もいるだろうがそれが自然なのだ。

　人同士、同じ人間でありながら違う個体だ。思いも違えば、感じ方も違う。

　集まったときは同じ方向を向いていた仲間も、時間が経つことで別の方向を向いていることがある。

　集まったときに心地よい間柄だと感じた仲間も、時間が経てば息苦しく、もう一緒にいるのが辛いと感じるようになることもある。

　絶対不変の関係なんてものは存在しない。そんなものを信じて相手に縋り付いて生きるのがおかしいのだ。

　その時が来たらすっぱり分かれる。別れて、きれいにして、次の出会いに備える。備えることができるだけの余裕があれば十分だ。余裕がなければ受け入れることも難しい。余裕を持つためと思えば、別れにもプラスの意味が出てくる。

　別れはプラスだと信じて切り出してみよう。その別れの先にまた出会いがある。そうやって人は集まり、やがて離れていくのだ。それが自然で、それが当然。それを繰り返すことで人はゴールへと近づいていく。離れがたいと長く長く思える誰かに出会う。そんなゴールを目指して。