第27話 家政"夫"の覚悟
京介に支えられ、家に戻った康太は、そのままリビング横のソファに横になった。
本当に疲れていた。昨夜から一睡も出来ず、泣き腫らし、寧々とのこともあり、もうクタクタだった。京介がケーキを運んできたが既に爆睡している。京介は、ケーキをテーブルにそっと置き、康太の頭を優しく撫でて、静かに去っていった。
目を覚ました康太は周囲を確認、もう夕方になっていた。康太の上には毛布が掛けられていた。慌てて起き上がり、京介の仕事部屋に行く。
「京介さんごめんなさい!僕寝てしまって……」
「いいよ、疲れてただろ?今日はもういいから、部屋で寝てていいよ」
「いえ、もう大丈夫です。すぐに夕飯を……」
「康太、大丈夫なら少し、いや、しっかりと話さないか?」
「……はい。ではお茶をお持ちします。」
「あぁ、頼むよ。」
フーーッ
大きく深呼吸をして、お茶菓子を持って康太は京介の前に現れた。京介は、そのタイミングで、パソコン前からソファへ移動する。
「康太、寝る前までの記憶はちゃんとあるな?」
「はい。」
「高柳のお嬢さんのことは?もう誤解してないか?」
「はい。」
「よし、じゃ俺の考えを聞いてくれるか?」
「はい、もちろんです」
「これは前々から考えていたことだ。母さんとも話してたことなんだが、
康太、お前、今の会社を辞める気はないか?
もちろん今の会社のままでもいいが、会社の意向とかあればお前は他の家に行くかもしれない、俺ら家族にとってお前はもうこの家には居なくてはならない、必要な存在なんだ。
だから俺たちはお前と直接雇用に切り替えたいと思っていた。
その方がお前の言い値で雇うこともできる。もっとお前の好きに勤務してていいんだよ。休みたければいくらでも休めばいい。なんなら他の家政婦も雇ってお前が楽できるならそれでもいい。
この家でお前を家族として迎え入れたいと本気で思ってたんだ。
そんな時に今回の高柳のお嬢さんの提案があった。お前を直接雇用すれば何ら問題なく高柳のお嬢さんの先生をすればいい。母さんも、康太が高柳のお嬢さんと交流して仲良くなることが、両家にとってとてもいいことになると思ってるようだよ。
もちろん、お前が行きたくないなら断ってしまおう。お前が俺の見えないところに、少しでも行くのはつらい。もし行かないで俺の見えるところにいつもいてくれるなら、それの方が俺は嬉しいからな。だから、お前が決めたら良いと思ってる。
だがもし、少しでも興味があるならやってみたらいいとも思ってるんだ。お前のその家事の技術は、我が家だけでなく、多くの人に知ってもらうって言うのも良いんじゃないかなって、そうも思ってるんだ。本当に。
それと俺のことなんだが、実は少し前から、戸上の奴がうるさくてな。いい加減たまには出勤しろっていうんだよ。
だから来週あたりから週に1〜2回くらいは、午後だけでも出勤しようかと思ってる」
「出勤?京介さん、僕も気になってたんですが、京介さんの会社ってどこにあるんですか?遠いんですか?」
康太が務めてから、京介は一度も仕事で出て行ったことがない。会議は部屋からリモートでやってるようだし、会社の戸上さんというおじさんが毎日その日の書類などを昼頃に届けてくる。あとはずっと部屋にこもっているだけなのだ。
「あれ?言ってなかったか。俺の会社はあそこだよ」
仕事部屋から見える窓の向こう西側を指差した。
そこには超高層ビルが建っている。このマンションの西側は、この大きなビルのおかげで、西陽が当たらず快適に過ごせている。それでも西側には通常窓がないのだが、この仕事部屋だけ唯一西向きに窓があった。
「京介さん、まさかと思いますが、この大きな隣のビルを指差してます?」
隣のビルは、一階が不動産屋になっていて、2階から最上階までが、その不動産屋も営んでいる一つの会社が入っている。名前は……
『YOUNG WOODS company』
ヤングウッズカンパニー……
「え?まさかヤングウッズカンパニーって京介さんの?!」
「お前、知らなかったのか?
俺の父親は生前、若林組っていう不動産屋を細々とやってたんだ。俺はその名前が大嫌いだった。なんだかヤクザみたいでさ、子供の頃そのせいで誤解もされて友達出来なかったし。
だから俺が会社を作った時に、若林組とは、違ってカッコよくしたかったんだが、いざ名前を考えるといいアイデアってなかなか浮かばないんだよな。そしたら母さんが、『若林組の名前を英語に変えてみたら』っていうわけさ。変換した時は驚いたね、なんだかしっくりきたんだ。その後、父も亡くなり若林組も吸収して今の形になったんだけど、結構この社名気に入ってるだよね。」
「それじゃ毎日戸上さんは隣のビルから隣のマンションまで書類を届けに?」
「あぁ。社長室がこっちにあるってだけだろ?って伝えて持ってこさせてた」
「隣のビルと、ではリモート会議を?」
「あぁ。毎日な。」
「行けばいいじゃないですか?」
「行かなくてもいいなら行かなくて良くないか?それに社長の俺が行くと、社員みんなビビるし。のびのびと俺は仕事してほしいんだよね。
ま、俺のそんな気持ちなんて知らないから母さんは毎日のように顔出してるみたいだけどな」
時折お菓子を大量に和子がもって出ていたが、それはどうやら会社への差し入れだったようだ。
「だから、康太がもし高柳さんのところに行くならその時間は俺は出勤することにするよ。そうすればお前も俺の世話とかを気にしないで行けるだろ?どうだ?やってみる気になったか?」
「僕が教えれることって本当にあるんでしょうか?」
「あるさ、お前には家事の才能はずば抜けたものがあると思うよ。
さぁ、俺の考えは全部伝えたよ?あとはお前次第だ。
俺も、みんなも、お前の答えを尊重するよ。安心して答えを選べばいいさ。」
「…………僕、やってみます。高柳さんに家事を教えてみます。」
「いいのか?」
「はい。それと、直接雇用ですが……僕もこの家以外に行きたいところはありません。なので、僕も直接雇用に切り替えてくれると嬉しいです。」
「いいのか?これは生涯になるぞ?」
「そんな……結婚するみたいに言わないでください」
「俺は本気だぞ?お前を手離すなんてことは生涯ないぞ?いいな?」
「はい。」
「本当に本当に本当に、死ぬまで俺の家がお前の家だ。
いいのか?」
「はい。」
「じゃぁ全てを母さんにも話すぞ、いいな!」
「はい。ん?全てって?家政夫のことですよね?」
「いや、俺とお前の間のことも。」
「は?はい?だめですよそれは!何言ってるんです?何を言う気ですか?」
「やっぱり?」
「ダメです。」
「どうしても?」
「ダメです」
「わかった。
なぁ、康太、そろそろ仲直りをしたいんですが」
「仲直り?」
「そう、仲直り。」
京介はグッと康太を引き寄せた
「おれはまだ疲れてる。お前を失いそうで怖かったから。」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。僕どうしたら?」
「お前からの愛がないと俺は復活できそうにない。なぁ康太…
康太、わかったならキスしてくれ。
今日はお前から、俺を慰めてくれ。
傷ついた俺の心をお前の愛で満たしてくれ」
そういうと京介は康太をさらに引っ張り、自分の上に馬乗りにさせた。
「わかるだろ?」
康太は、ゆっくりとキスをする。
いつも京介にしてもらっているように、口にキスをし、頬に耳周り、首、口にと方々にキスをする。
京介の服のボタンを外す。自分の服も脱ぐ…
京介の乳首にキスをする…
「あぁぁー… ああぁぁー… 」
京介の、声は太く低く……そして、エロい……
康太は京介の乳首を噛んでみる
「あっ!」
京介は喜んでいるようで、康太の髪をクシャクシャにしながら、もっともっとと言わんばかりに自分の乳首に康太の顔を押し当てる。
康太もそれに応えて吸い付き噛み付く……
背中を仰け反らすように反応してくれる京介が美しくとても綺麗だ。
京介は、康太とぐるりと体制を変えた。
一気に康太の乳首を攻めていく。
「今度は俺の番だ」
京介は康太の下半身を、おもむろに出し、咥えて見せる……
「あぁ……京介さん……あぁ…あぁ……」
「まだまだだよ、コウタ。今日はまだまだ……」
そして、2人はいやらしく優しく時間たっぷりと正常位やバックと体位を変えつつ愛し合うのでした。
昨晩できなかった分までたっぷりと、ねっとりと愛し合うのでした。
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