第17話 では作戦決行で!

テルリアン叔父様は一気に話した後にお茶をゆっくりと飲んでから、息を一つ吐き出した。


「突然、公爵家にやって来たジョナ一家に戸惑いましたが、チャベルの実母の手紙とうちの親戚からの紹介状を持参していたというのもあり、受け入れた形になりました。まあでも、最初はまだよかったのですよ?彼らも普通に使用人として働こうとしているかな…という風に見えました」


なるほどねぇ…突然訪ねて来たとはいえ、チャベルさんもテルリアン叔父様も無下に出来なかったのかも?


「暫くしてから前メイド長が体調の悪化を理由に退職をしまして…ジョナがメイド長に昇格ということになりました。この昇格に私は疑問でしたが、他のメイド達が了承している…と聞かされましたし、チャベルも渋々ではありますが了承したという感じでした」


私は思わずここで声を上げてしまった。


「こんな時に体調の悪化で?」


声を上げてから、しまった…と思ったけれどテルリアン叔父様は深く頷き返してくれた。


「ええ…こんな時に出来過ぎですね。勿論、その点についても調査しております。前メイド長の身はこちらで保護して治療を受けさせています」


治療…前メイド長の体調が優れないのは本当なのね。でも保護…ということは、何かあったってことなのね?


「ジョナはメイド長になった後も執拗に私に近付き始めました。そしてラナイスと私の関係を拗らせようと使用人達を焚きつけ、事あるごとに『ラナイスに公爵を取られて悔しいのだろう、公爵位を奪い取れば良い』と言って私を煽ろうとしてきました。随分と馬鹿にされたものです!この私が悔しがってると思いますか?ラナイスは戦闘馬鹿で実務はからきしだから私に丸投げだし、そのお陰で私はノビノビと領地改革に手を出せる。公爵家の資産を使って、新しい事業に手を出したり、領地を好きなように改革出来るのですよ?役人の時に内務庁から却下された施策を堂々と試すことが出来る。最終責任はラナイスに任せてしまえますし、こんな楽しい立場を誰が手放すものですか!領地の活性化案を鼻で笑った事務次官めっ!!〇〇の馬鹿めっ!お前が鼻で笑った農地改革上手くいってるぞっ!うちの税収見たかっ?ざまあみろっ〇〇の〇〇めっ!!」


……段々とヒートアップする言葉の最後の方は昔の職場(城)の上司への恨み辛みだったような気もするが…要約すると、テルリアン叔父様は今の公爵家の事務?仕事はやりがいもあって、楽しんでいるようなのだね。


それなのにジョナがラナイス様との対立を煽ってくると…


テルリアン叔父様は恨み辛みを吐き出した後に、アイドルスマイルを浮かべた。


「…ジョナはどこかからか指示を受けて私とラナイスとの間に溝を作り…ラナイスを公爵家から追い出し、何故だか私を公爵に据えて公爵家を操れる…と思い込んでいるようです。はっ…馬鹿馬鹿しい!この私が操られるような男に思えるのかっ!」


……テルリアン叔父様はまた怒っていらっしゃるようだ。ああ、アレか…簡単に懐柔出来る男だと思われたのが頭に来たのかな?


「ジョナをこのまま追い出しても構わないのですが、どうせなら煩く騒ぐ周りも纏めて凝らしてめておきたいのです。と、言う訳で…是非ともナノシアーナ殿下にはラナイスと共に、私と敵対して頂いて存分に煽って頂けると助かります」


「はぁぃ???」


つい、うっかりと変な返事をしてしまった。


今、何と言った?テルリアン叔父様と敵対?

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