第8話 誰だ?
廊下を覗いていると、美丈夫様と目が合った。美丈夫様は綺麗なエメラルドグリーンの瞳だ。まあぁ~驚くほどに鼻筋の通って綺麗な顔の美丈夫様だ。
……と、思ってうっとりしかけたがよく考えてみると、この世界は美醜逆転の世界だった。ということは…
世間一般的には、あの美丈夫様は→絶世の不細工男子ということだ。
我の仲間よっ!!!こんなことで仲間呼ばわり、すまんっ!でも今まで生き辛い思いをされていたよね?分かるっ分かるよ!
私がベール越しに同志を熱く見詰めていると、美丈夫様が早足で私の前までやって来た。近くで見ると益々迫力の美形だなぁ…
「ナノシアーナ殿下、あの…」
目の前の美丈夫様から発せられて声に驚いた。
いやいや待て待て?あんたもしかして…
ラナイス=ヨード=カイフェザール公爵閣下?先程まで包帯を身に纏っていた包帯公爵閣下なのか?
あの包帯の下にはそんな美貌が隠されていたなんてっ!?
包帯をしていたので顔に怪我でもしているのかな?と、思っていたけれど目に見えるような外傷は無いように見える。
驚愕のままその怪我の無い美しいご尊顔を見詰めていると、カイフェザール公爵閣下は
「ご一緒にお茶でも如何ですか?」
と、私をお茶に誘ってくれた。
人生初っ!前の生も併せても初ですともっ!若い男の方とサシでお茶!(但し前世の甥2人は除く)
「よ、喜んでっ!!!」
…大興奮で某居酒屋のような掛け声?を上げてしまった。
緊張しながらエスコートを受けて別室に案内された。
元?包帯閣下はテーブルを挟んで対面に座って、何だか挙動不審だった。暫く失礼ながらも動く美形を観察させて頂いていると
「ナノシアーナ殿下…その…お顔を見せては頂けませんか?」
いきなり美形様が爆弾発言をブチかましてきた。
そうだ……カイフェザール閣下も勇気を振り絞って素顔を晒している。
どうしてここに来るまで閣下が包帯巻いてたのか?など、まだまだ謎はあるけど……よーし!
私は自身の顔を覆っていたベールをいきおいよく外してみた。
「!」
あ……カイフェザール閣下が私の顔を見て固まってるわ。閣下が私的に美形様だったから油断してたわ、私ってばこちらの世界では不細工な面立ちだった。
あ~誰だってそうだよねぇ、自分は不細工でも恋人や結婚相手には、少しでも綺麗な人を選びたいよねぇぇぇ~分かるわ、うん。
「申し訳ございませんでした…」
つい、ベールを外して見せてしまって申し訳ないと思って謝罪すると、それを聞いたカイフェザール閣下が目を丸くした。
「いえ…その、お顔を隠されていたのは…理由も分かると言いますか…私もそうですし」
と、苦笑を浮かべられた、美形様。
それも分かるわぁ~こんな絶世の美形様…おっと、この世界における絶世の?不細工様だもの、きっと私より沢山の人達から心無い言葉で罵られてきたに違いない。
包帯で顔を隠したくもなる辛い生活だったんだろうな…
「ナレシアーナ殿下、公爵領ではどうかお気になさらずに、過ごして頂いて大丈夫です」
カイフェザール閣下の微笑みを見て、閣下の後ろに控えている公爵領のメイドや侍従達の方をチラリと見てみた。
皆、私と目が合うと微笑み返してくれている。
私は思い切って聞いてみることにした。
「カヒラではなく、私が閣下の婚姻相手だと分かって気落ちされたでしょう?」
カイフェザール公爵は驚いたのか、座っているソファから飛び上がっていた。私の見た所では、垂直に10センチは飛び上がってたね。人間って座ったままでも飛び上がれるんだね、新しい発見だ。
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