故郷の味

戸画美角

ふるさと納税

 彼の元にその郵便物が届いたのは、彼が大きな仕事を片付けて長期休暇に入った初日の朝方のことだった。


 自宅に備えてある宅配ボックスを開けると、そこには彼の故郷の名とイラストが印刷されたダンボールが入っており、それは彼が故郷に収めた『ふるさと納税』のお礼の品に違いなかった。


「あぁ、もうそんな時期だったか……」


 そうつぶやいてから箱を開けてみると、そこには真空パックされた状態の『のっぺ汁』が数十個入っていた。彼はその味を頭の中で思いだすと、懐かしい感覚が溢れ出してしまったこともあり、早速朝食に食べてみることにした。


「あぁ、懐かしい…この味だ」


 そう言って、彼は数年ぶりの郷土料理を心から楽しんだ。


(でも、おふくろの作ったやつとは少し違うかもな……)


 そんな考えが頭がよぎり、彼はメールボックスの中身のことを思い出し始めていた。

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