ガンスミスのバイト
kiiroinya
受注生産
一部界隈で”国内最高のカスタムショップ”とされるガンショップ、"
二〇二九年十一月九日午前二時。そのSMZ唯一のガンスミスである清水は、商品の発送作業に追われていた。
これまでSMZの売上はオーダーメイドの製作がメインで、量産品はARや1911のクローンを実店舗限定で取り扱う程度だったが、今回は違う。
通販で1911のグリップパネルを出してみたところ猛烈に売れ、二時間後に慌てて受注を停止するまでの販売数およそ五百。気が遠くなるほどの数をCNCで量産した。
そして、量産が終わった今。今度は発送地獄に追われている。製品の梱包、伝票の貼り付け、発送通知の送信。明らかに一人の作業量ではない。
「――受注生産なんて、二度とやるか」などとぼやきながら清水が作業する中、裏口を開ける音がした次の瞬間。
「今何してるの?暇?」
雰囲気をブチ壊して工場に入って来たのは書類上のオーナー。実情は無能。名前は知らない。
「全然暇じゃないし、コレ手伝ってほしいんだけど」
「清水の頼みなら全然いいけど、多分私、片側だけ2枚入れたりするよ?――あ、そういえば少しお金くれない?そろそろ餓死しそうなくらい金欠でさ」
「――もう何もするな」
――その日は結局、発送を進めて、オーナーに金をタカられただけで終わった。
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