第4話 ユリアン

『現在、試験開始から2時間が経過しました。残りの人数は427名。残り時間は1時間となります。』


 結局、瞑想に集中し切れないままのカインの集中力に止めを刺したのは、突如として幻界全域に流れた試験の現状を報告する声だった。カインは閉じていた目を開けてため息を吐く。


(2時間が経ったにしてはかなり残ってるな。さっきは僕が4人、大魔法で多分20人は倒されてるのに、実際は半分をちょっと過ぎたくらい。いくら何でもおかしくないか?)


 試験の進みが遅いことに首を傾げるカイン。これについては試験運営側によるミスが重なった結果であった。


 まず、この試験は生き残った257人を合格させるものではない。試験内での行動や戦闘の様子などをリアルタイムで見たり録画したものを見直したりして採点していき、上位257人を入学させることになっている。しかし、試験のルールにも、注意事項の説明をした際にも、そのことを明言しなかった結果、受験生たちは生き残ることに、戦闘を避けることに力を入れるようになってしまっていた。


 そして次に、試験を行う幻界の広さである。現在カイン達がいる幻界は、単純な敷地面積で言えば学術都市よりも広い。転移した瞬間、他人をすぐに察知できる距離にならないようにするためだったのだが、戦闘を避けるという傾向からも、魔力探知距離ギリギリにいる遠くの敵はお互いに見逃してしまう事態が起きていた。


 そうした生き残りをかけた戦いだという勘違いから、拠点を造り籠城する構えを見せる子が多かった。もちろん、積極的に戦う姿勢を見せる子供もいるのだが、そんな彼らでも万全の準備を整えて待ち構えている相手の拠点に突っ込む様な無謀な真似はしない。その結果、試験は遅々として進まなくなってしまった。


 カインもこのままでは試験にならないと、受験生が危惧するようなことでは無い懸念を抱き、膠着状態に一石投じる為、他の受験生を探しに行く。やる気は出ないというのに、無用な責任感で動いているのは、やはり罪悪感からであった。それに、そんな自分が4人既に倒してしまっている以上、ここで静観するのも不義理であると感じていた。


 そうして見つかったのは予想通り、複数人でチームを組んで森の中に籠城している一団。至る所に罠や防衛用の魔法をかけており、中に入れば恐らく木も動くのだろうと予想できる。


「それなら、切り拓くしかないか。」


 剣召喚魔法・魔剣『炎』で魔剣を2振り召喚し、森を焼き払おうとする。しかし。


「・・・まあ、分かりやすい弱点をそのままにはしてないよな。」


 二振りの魔剣を合わせて生み出した炎の塊による一撃は、森の入口の木々を燃やしただけで、奥まで燃え広がらない。


 さらにその攻撃が訪問を告げるノックになったのか、カインに向けて、無事な木々から、足元の地面から、蔦が勢いよく伸びてくる。


「緋刃・絶空」


 炎を収縮させた緋色の刃で蔦と木をまとめて薙ぎ払う。切り口が爆ぜて収縮した炎が解放されるとより広範囲まで炎が吹き荒れる。


 先程よりも広い範囲を焼き切り開くと、このまま攻め込まれることに危機感を抱いたのか、膨大な魔力がうごめき、これまでとは違う何らかの魔法が発動されたことをカインは感じ取る。


 すると、急に地面が振動し、何かがへし折れる軽い音が幾度となく鳴り響くと、森の中腹辺りで木々が伸びてはまとまっていくのが目に入る。


「これは・・・。」


 そうして出来上がったのは巨大な片腕。遠くにありながら見上げるほど大きいそれは、握りこぶしを作るとそのままカインに向けて振り下ろす。


「うおぁ!?」


 全力でその場から退避するカイン。拳が届くまでは時間があったが、それでもギリギリの回避になるほどその腕は巨大であった。


 地面に叩きつけられた拳による風圧で吹き飛ぶカイン。何とか体勢を整えて着地すると、続けて何かを引きずるような音が、凄まじい大音量で聞こえてくる。


 拳を地面に叩きつけた後、地面を削りながらこちらに迫って来る腕はまさに逃げ場のない壁が迫って来るようであった。


 斬ろうにも、あまりに相手が巨大なので恐らく意味を為さず、跳んで逃げようにも左右に逃げようにももはや間に合わない。地面に潜っても今から潜れる深さではやはり巻き込まれてしまう。


 カインは数本の剣を召喚し、続けて後方上空に向けて短剣を投げつける。そして自分が腕に巻き込まれる前に投げた短剣の元に転移し、続けて森の中心へ向けて、少し迫る腕から逃げる方向にずらして再度短剣を投げつけた。


 短剣の投擲と転移を繰り返し、腕から逃げながら森の中心、魔法を使ったであろう人物がいる場所へと凄まじい速さで向かうカイン。腕は実際の腕の動きと連動しているのか、魔力の繋がりが分かりやすく、どこに魔法の発動者がいるのかが丸わかりであった。


 そして、モニタに映し出されたカイン達の戦闘に、多くの人は腕の巨大さに驚き、一部の人はカインが生き残っていたことに驚いた。


「あのカインって人、生きてたっすよ!?」


「あれは空間魔法?確か複数紋持ちという話だったけど、魔眼紋の方は属性が休眠しているって話じゃ?」


「休眠はしてたけど覚醒してもおかしくはないでしょう。でも、もし空間魔法なら魔力の波長でシルヴィが気付いていたはずだから、多分あれは剣魔法でしょうね。剣のある所に自分を転移させるとか、そんな魔法じゃないかしら。さっきから剣を投げてからその剣の場所に現れているもの。さっきの風魔法の奥伝秘術から逃げたのもあの魔法のおかげじゃないかしら?」


「何と言いますか、不服ですね。私と戦っていた時は本気ではなかったということでしょうか?」


 そんな騒ぎの中レティシアは知らない魔法を使うカインを見て不満を口にする。つまり自分と戦った時、カインは本気では無かったということ。彼女は体が不自由であるからこそ、自分に対するあらゆる特別扱いを嫌っていた。


「多分、剣士としてのプライドだと思う。レティシアはかなり強い。そんな相手と命の危険も無く剣士として存分に戦えるのなら、ある程度自分の魔法に制限をかけてもおかしくない。自分の鍛錬がもはや趣味ってレベルの人はそういう考えをするって聞いたことある。」


 セルフィの淡々とした言葉は慰めではなく自分が思ったことを言っているだけなので、レティシアも素直に受け取ることができ不満を抑え込む。


 そして渦中のカインは、ちょうど森の中で魔法を使う一団を目視で捉え、彼らのいる森の中に空いた広場へと降り立ったところであった。


 着地と同時に植物がカインに襲い掛かるが、魔剣で切り払うと呆気なく焼き払われ、カインはそのまま相手に向かって魔力刃を振り下ろす。


 その魔力刃は進路に出現した黒い球に触れるとそのまま飲み込まれ消えていった。


 何が起きたのかと疑問に思うカインは、突如襲い掛かる凄まじい重圧によって膝をついた。視線を周囲に巡らせると、自分の周りの草花も押しつぶされているのが目に入る。


「随分と不躾な客だな。まさかここまで押し入って来るとは。」


 冷たい声が投げかけられ、カインが顔を上げると、金髪碧眼の少年がカインを少し離れたところから見下ろしている。怜悧な美貌は表情を作っておらず無表情のままで、しかしそれでも周りの少女は熱い視線を少年に送っている。


「人族か。また珍しい奴が来たものだな。」


 カインが人族だとわかり、少し意外そうな声を出すが、カインは徐々に増す重圧に抵抗するだけでいっぱいいっぱいだった。


「あ、あの!ユリアン様!これから先は我々にお任せください!これ以上お手を煩わせるわけには!」


「お前たちではどうにも出来なかったから俺が動いてるんだろう。それとも点だけでも稼ごうという魂胆か?」


「そ、そんな!滅相もありません!」


 ユリアンと呼ばれた少年から冷たい目で睨まれ、声をかけた少女は涙目になりながら引き下がる。


 そんなやり取りをしている間にも、膝をつくことすら難しいほど重圧が強くなっており、カインは隠していた一つの魔法を発動する。


「剣付与魔法・退魔の剣」


 剣が淡い光を纏うと、カインに圧し掛かっていた重圧が消え、カインは一気に駆け出し接近を試みる。


 ユリアンはそれを見て視線を険しくし、背負っていた大剣を抜きながら魔法を放つ。


「重力魔法・黒点魔力弾」


 カインに向かって黒く染まった魔力弾が放たれる。それに対してカインが魔力刃で斬りかかると、魔力弾は魔力刃を砕き、同時に魔力弾は霧散した。これにはお互いが驚きの表情を浮かべる。


 カインが驚いたのは、魔力弾ならば魔力刃で複数斬ることが出来ると思っていたのに、実際には魔力弾一発に砕かれてしまったこと。


 ユリアンの方は、魔力刃程度ならば複数貫通させられるだけの圧縮による硬度と重さを付与したはずだったが、魔力刃に斬られるとすぐに霧散させられたことに驚きを露わにしていた。


 今も変わらずカインの周囲に重力を駆け続けているのだが、それを意に介していない様子から、ユリアンはカインの魔法にあたりを付け、今度はユリアンからも接近し剣を斬り結ぶ。


「お前のその魔法、魔法の無効化、解除の類か。」


 数度剣を交わすとカインは後退する。いや、後退させられた。二刀流の手数をいなし、隙を作ると一気に攻め上げられた。大剣は手数は少ないが一撃一撃は油断がならない程重い。その一連の流れから、目の前の少年が剣士としては自分以上であるとカインは理解させられた。


「だがまあ、それほど脅威ではないようだな。少なくとも剣術では負けないらしい。」


 その言い方に思わずムッとするカインだが、事実である以上何を言っても無様を晒すだけだと口を噤み、再度接近をしかける。


 攻防を重ねながら、ユリアンは冷静にカインの魔法を分析する。


「魔力弾も使わないところを見ると、この魔法はお前自身にも制限がかかるらしいな。だがまあ、大抵の奴には脅威だろう。」


 再度カインを弾き飛ばしながらユリアンは言葉を続ける。


「あとは、魔法の無効化は完全なものではないらしいな。発動の起点となっている場所に近ければ近いほど効果が増す。・・・なるほど、さっき伸ばした魔力刃によって魔力弾が霧散したところを見るに、発動の起点は剣か。」


「・・・すごいな。そこまで分析されるなんて。それで、どう対抗するつもりだ?そっちの方も決め手に欠けるんじゃないか?」


「フッ。残念だが、こうして剣術勝負に引きずり込むしか俺には対抗手段が無い。中々面倒な魔法を持っているな。これは褒めているぞ。」


 初めて苦笑いを浮かべたユリアンに、周囲の手を出せていない少女たちは鼻を抑えてうずくまる。ユリアンの表情の変化に興奮して鼻から出血したのである。


 それを視界の端に納めたカインは首を傾げ、ユリアンは一つ溜息を吐くと、先程カインに向けて放った黒い魔力弾を放ち、全員を退場させた。


「何を・・・。」


「別に、あいつらと協力関係を結んでいたわけでもない。勝手についてきて、陣地を構築し、留まるよう言ってきただけだ。俺も利用できるところは利用した。そして今、お前にやられる可能性がある以上、事前に刈り取るのが効果的だ。」


 そう言って今度はユリアンが魔力刃を使った突きを繰り出す。大剣のそれは本来ならそれほど連続では放たれないものだが、ユリアンは回避しづらいタイミングで、その時咄嗟に動かしにくい体の部位を狙ってくる。


 駆け続けるカインは次々と突きを放たれ、近づくほど精度も上がり徐々に手傷が増えていく。


 しかし何とか接近しきったカインは今度はこちらの番だとユリアンに斬りかかる。二刀流の手数を活かし、先程まで見たユリアンの剣術に対応した型で、今度はユリアンを追い詰めていく。


「これは・・・!」


 押されるユリアンは表情に驚愕を滲ませる。


 ユリアンが振るった剣に今度は横から添えるように受け流すカイン。先程までは対応できていなかったはずなのに、少しずつ躱されるようになっていく。1割、2割、4割、6割。攻撃を回避する度に成功する割合は増えていき、最終的にはほぼ完全に受け流しが成功して反撃までするようになった。


 カインの剣術はユリアンから見てもそれほど卓越したものではなかった。決して下手なわけではなく、むしろ上手い部類に入る。それでも、鍛錬を重ねれば誰でも辿り着ける領域で、子供ながらそこまで修めているのは早いことではあったが、同年代の本物の天才は既にずっと先にいるのをユリアンは知っている。


 ユリアンもカインと同じようなものだった。同年代の他の子よりも要領がいいため剣術の習得が早く、それ故に他の子たちから見れば天才だと持て囃されたりもした。


 そんなユリアンも壁にぶつかり停滞し、他の子供たちが追いついてくる中で、それを易易と越える本物の天才を目の当たりにしてから、自分が他の子よりも早くものを憶えるのが上手かっただけだと自覚した。


 目の前のカインは先程までは自分と剣術の腕前にそれほど差は無いと感じていた。むしろ教育環境の違いから自分の方が上だと最初の攻防で理解していた。天才特有の異質な才能を感じさせることも無い。それはユリアンと互角に戦っていることから逆説的に証明できる。自分と互角に戦う程度では天才たちのような一足飛びに大成していく剣士ではないと。


(そのはずだが・・・!)


 いつの間にか自分の剣術はどんどん解析されていき、徐々に徐々に後退させられている。


(今、この時もこいつは俺の剣術を読み取って成長してる!)


 カインは魔眼紋の恩恵のおかげで目が非常にいい。特に鍛錬の中で無意識に鍛えられた動体視力はもはや才能となってカインに根付いている。


 才能とは生まれながらに与えられるものだけでない。後の鍛錬で体に根付いたものもれっきとした才能になる。


 これまで休まず続けてきた剣術の鍛錬は、それに適した体という才能を与え、剣術の再現、模倣を容易にする。


 だが、それを持っているのはカインだけではない。


 形勢が逆転してカインが押せ押せでいたはずなのに、急にユリアンの反撃が通るようになる。強引に身を翻してカインの剣を躱して肉迫し、体ごとぶつけた後の一閃。それまでは気品すらあった振る舞いに急に泥臭さが混じってノイズが走る。そのノイズがカインの読みを乱し反撃を許したのだ。


(なぜだろうな。このまま負けを受け入れるのはどうにも癪だ。)


 ユリアンの反撃はその一心で行われた。


 これまでも同年代の子に負けたことはある。その中には別に天才というわけでもなく、一緒の道場で真面目に練習してきた子もたくさんいる。だというのに、今日初対面のカインに負けるのは何故か気に入らなかった。


 相手の拍子を崩してから畳み掛けるが、それも徐々に見切られていき再び互角になる。


 これもしばらくすればまた均衡が崩れて押されるのだろうとユリアンは予想し、これまで表面化されなかった負けず嫌いが顔を出す。最初の上から目線だった自分が嫌になる。


(ふざけるな、食らいつけ!)


 最初にあった優雅な剣術をかなぐり捨てて戦っていると、互角に戦えている時間が長くなっており、何となく相手の動きが正確に予測出来るようになっていることにユリアンは気づく。


 相手の動きを見ているカインとは違い、相手の動作の起こりを読み取れるようになったのだ。


『別に剣術に気品を求めてるわけじゃないよ。ただ姿勢を意識してるからそう見えるだけ。』


 道場で自分に剣術を教えてくれる1つ年上の少女が、過去に言っていたことを思い出す。


 彼女の剣術が綺麗に見えたので、思わずどうすればそんな風に強くて綺麗な剣術を身につけられるか尋ねた。


『立ち姿、体幹、何より重心。うちの流派はそう言ったことを突き詰めた剣術だからね。ある程度のレベルまでは見栄えがいいから各国の貴族たちにも好評だけど、この剣術の真髄はそんなものじゃないんだよ。動きには必ず起こりがある。それは体の動かすんだから、当然重心にも予兆として現れる。それを剣術に乗せられるようになるのがこの剣術のコンセプト。だからまずは自分の体でそれを理解するの。そうすれば逆に起こりをできるだけ抑えて相手に動きを読まれないようにできるし、フェイントを仕掛けることもできる。そして重心と動きの関係を理解すれば、今度は相手の動きを読み取れるようになる。・・・え?途方もないって?あはは!確かにすぐには理解できないと思うよ。でも、だからってこの剣術を学ぶ以上、基礎は疎かにしちゃダメだよ?いつか、私の言ってたことがふと理解できるようになるからさ。』


 彼女の言うように、当時は理解できていなかった。


 彼女の言っていたとおり、今、唐突に理解できた。


 これまでユリアンは教わった通り姿勢を意識して戦い続けてきた。しかしそれは実感がほとんどないまま、何となく続けてきていただけ。決して悪いわけではなかったが、あらゆる姿勢によって体幹、重心が変わることがどれほど重要なのかを理解できていなかった。


 しかし、崩れた体勢で攻防を繰り返したことで、逆にこれまで続けてきたことがどれほど自分に恩恵を与えていたのかを実感し、また、これまでの積み重ねもあって一気に剣術への理解が増した。


「ハアアァァァ!」


 いつの間にか形勢はまた傾いて、今度はユリアンがカインを追い詰める。


 普通に戦えば手数で劣るが、必ずカインに両手で防御させ、その上で手に痺れを残させるほどの重みを持った攻撃は、ユリアンのこれまでの研鑽による剣術も相まって、カインに防戦一方を強いる。


 そして、相手の懐に飛び込む勢いで攻めかかられていたカインが思わず魔法の制御を緩めてしまい、退魔の剣の効果が弱まってしまう。解除したわけではないので、カインへの加重は無効化できたが、ユリアンが自身が剣を重くするための重力魔法は無効化できず、その直後の一撃を受け流そうとした腕が無理矢理押し込まれ手首を捻ってしまう。


「ガッ!?」


 地面に叩きつけられそのまま転がるカイン。右手首は赤くなっており、そのまま放置すれば腫れてしまうだろう。


 しかし休む暇は与えないとばかりにユリアンは距離を詰めて来ており、右手では剣を振ることもできず、カインはやむなく左手でユリアンを迎撃しようとする。


 それを読み取ったユリアンは半歩下がり距離を調整しながら剣を大上段に構える。動きを完全に読まれたカインは危機感による寒気が背筋に走るが、既に攻撃姿勢を取っていたカインの体は前に踏み込んでしまい、同時にユリアンが重力魔法をかけながら叩き潰さんと剣を振り下ろす。


 せめてもの抵抗に、カインは零加速による最速の一撃を繰り出す。


 意表をついて先制できればと祈ったカインの目に映るのは、同じく初速から最速が乗ったユリアンの一撃。当然のことながら、零加速は人族の間だけで使われている技術ではない。零加速ではなく『無拍子』と呼ばれ、世界にも広く認知されている。


 片手だけで振るった速さを持った一撃と、両手で振るい加重までした上に速さも乗せた上段からの一撃。


 軍配が上がったのは当然後者、ユリアンの一撃であった。

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