第2話
真っ暗な部屋 パソコンのモニター音だけがする
いつものように寝た振りをしているのかと
寝室のドアを開けようとすると重くて開かない
「ねえ、ふざけてないであけてよ」
少しだけみえたドアノブには青白い彼の顔がみえた
おかしい、今までにこんなことはなかったはず
どんなに死ぬって言っても駆けつけたら寝た振りして泣きながらすがってきていた
パニックになりながらハサミをさがす
首にかかっていたタオルを切った
開いたドアからは嘔吐物と尿の匂いがした
すぐに気道確保し人工呼吸をした
どうみても心肺停止していた
でも私は信じたくなかった
人工呼吸は嘔吐物の味がした
心臓マッサージをしなから救急車を呼ぶ
「住所はどこですかぁ」そのゆっくりした口調に泣きながら答える
うまく答えれない自分にまた泣けてくる
心臓マッサージと人工呼吸を繰り返すことどれくらいたったのだろうか
救急車の音が聞こえてきた
「首をつったのはいつですか?」
そんなの私が聞きたい!
「あーもう失禁しちゃってますね」
だからなんなの?助けてよ!
「心肺停止の男性受け入れいれますか?」
だから助けてよ!
お願いします!助けてください!
お願いします!助けてください!
私は何度も床に頭をつけた
「やれることはやりますんで」
「CPAは難しいかなぁ」
わざと医療用語で話す救急隊に
『CPAでも助かった事例はあります
早く運んでください!』
と怒鳴り散らす私をみてやっと医療関係者だとわかり救急隊が動き出した
救急車がついた病院は地域で1番大きな病院だった
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