第36話 クリスは一人で白人の大軍を降伏させました

「ヘルマン!」

アメリアはヘルマンに飛びついていた。

しかし、ヘルマンは返事もしなかった。



その前でクリスは手に魔力を込めていた。


「元フロンティア王国にいるものに継ぐ。私はボフミエ筆頭魔導師のクリスティーナ・ミハイル。蛮族ホワイテア軍の将軍クスミン及びそれに従属する兵士たちは、シャラザール三法違反、殺人罪、及び奴隷禁止令違反、麻薬禁止令違反により、処断した。

もう一度言う。シャラザール様が定められた禁令に違反した蛮族ホワイテア軍は処刑した」

全フロンティア地区に流す。


「残存兵士に告ぐ。直ちに武装解除の上降伏せよ。繰り返す直ちに武装解除の上降伏せよ。」


「な、何を言うか。白人の裏切り者め」

別地区を警戒していたイソラ師団長は師団全員を指揮して広場に向かった。


「皆の者。我らは新大陸最強の軍団である。旧大陸のへなちょこ軍などに負けはせん。

相手はクリスなどという小娘。一撃で黙らせてやるわ」

大声で味方を鼓舞しながら広場の前まで来る。


「な、何じゃこれは」

しかし、広場が更に巨大な廃墟になっているのに、驚いた。


「し、師団長。あの女が一瞬でやったのです」

傍で震えていた兵士の一人が言った。


そこは侵攻軍の本拠地の城があったはずだった。それがそっくり消え失せていた。


そして、広場の中央には少女が一人立っていた。


「貴様がこのような蛮行をしたボフミエ魔導国の筆頭魔導師か」


「何をおっしゃっているのやら。人種差別などと旧大陸では五歳の子供でもしない愚かな蛮行をしたあなた達が言って良いことではありません」

いうや、クリスの手から閃光が走った。

それはイソラらの真横を通り過ぎて建物に激突する。凄まじい爆発音とともに、建物が一瞬でしていた。


数人の兵士が腰を抜かしていた。


「直ちに降伏なさい。次に標的を反らせる保証はありません」

全員固まっていた。

次に一歩でも動けばクスミンらと同じ目に合うのは明白だった。


「こ、降伏します」

一人が叫んで剣を手から離した。

「私も」

「私もです」

次々に剣を手放していく。


「貴様ら裏切るのか」

そう言う、イソラも手が震えていた。


「早くしなさい」

言いながらクリスは手に魔力を込めだした。


その光はどんどん大きくなる。


「こ、降伏する」

イソラも思わず叫んでいた。


クリスはその光の塊を頭上に上げる。

こんなのが地上で炸裂すれば師団全員の即死は確実だった。


「ヒェェェェェェェェェェェ、お許し下さい」

兵士たちは身を投げだして平伏した。


クリスはその光の塊をそのまま上に射出する。


巨大な光の玉はどんどん上昇して上空で大爆発した。


それは千キロ離れた帝都ホワイトンでも観測されたというほどの大爆発だった。


その爆発に恐れをなして大半の兵士たちは降伏した。


慌ててスカイバードで飛んできたオーウェンらが見たのは全面降伏したホワイテア軍兵士たちの大軍だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る