第10話「ニケ… 姿を撮影される」
「北条課長、例の翼の少女が現れたようです。」
「今回はどこだ?」
報告を受けた
「昨日の成田空港での着陸事故に
内閣情報調査室特務零課の課長室で、出勤してきた北条が自分のデスクで部下の報告を聞いている。
「ほう… あの事故現場に翼の少女が現れたのか…。するとあの事故に何か関係しているのか…?」
「今のところは事故との関連性は不明です。」
「ふむ、とにかく動画を見せたまえ。」
「はっ、こちらです。」
部下が壁に
もう一つの映像は、成田国際空港から提供を受けた公式記録としての動画のコピーである。空港の監視カメラが撮影した動画で、ジェット機が空港滑走路に緊急着陸した直後の映像らしい。旅客機から煙が発生しているが、まだ消火用の放水はされていない。と、その時強い風が吹いたために画面中央部の左翼側の機体部分を
「拡大しろ!」
北条の命令で部下が人影の部分を拡大した。拡大するにつれて画質が荒くなるが、何とか判別できるのは、ボロボロになった服の
「巻き戻せ、もう一度今の部分を再生するんだ。」
部下が命じられるままに繰り返した。しかし、何度見ても同じシーンで人物が消失するのである。
「この動画は30f/sで撮影されています。つまり、1秒間に30フレーム記録されるんです。次にコマ送りで再生してみます。」
部下が北条に命令される前に、気を
「よし、やってみろ。」
北条が満足そうに言う。彼は命令されたままを行なう者よりも、今の様に相手の先を読んで行動する者が好みだった。
コマ送りで再生される画像には人物が消失する瞬間に、ボウッと
「これは…つまり1/30秒でも一瞬の影としか
「さすがは課長です。私も何度考えても、そのように結論付けるしかありませんでした。」
「ふん…」
北条は上司にゴマをすったり、自分の推測を上司に対して簡単に口にするような奴は嫌いだった。この男のさっきの好感度はこれでゼロになった。だが、誰が考えても今の映像から得られる答えが同じなのは、言われるまでも無かった。
「瞬間的に加速して、空に飛び去る事が可能な人物…か。人間にそんなことが出来る訳がない。まるで特撮ヒーローだな。ふん… 謎がさらに深まっただけだな…」
北条はこの部下に対して、さらに命じた。
「ラボに言って今の動画の人物の写った部分を解析して画像の解像度を上げさせろ、もっと人物の特徴を判別できる程度にな。乗客のスマホについてもだ。早急に調べさせ結果を持ってこさせるんだ。」
「はっ!」
すぐに部下は部屋を出て行った。今のはいい… アイツは命令に対する反応が早いな。もう一度加点しておいてやろう…
北条の言ったラボとは
「しかし、あの翼の少女と同一人物だとすると今回の旅客機事故でどんな役割を果たしたのか… それに人間が自分の力だけで空を超高速で飛べるというのか…? そんな馬鹿げたことの出来るこいつは、一体何者なんだ…」
北条の興味がさらにかき立てられた。彼は、この人物の正体を明かしてやりたくて仕方が無くなっていた。
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同時刻、
「うーん、本当に
くみは料理を次から次へと
「あなた、よくそんなに食べられるわね…」
アテナが
「まあまあ、アテナさんや。そう言わないでやっておくれ。くみのお
祖父の
「そうだよ、アテナ。僕もくみには感謝しきれない。僕や父さんが無事なのも、こうやって家族みんなで食事が出来ているのも、全部くみのお
竜太郎もくみを
「嫌だわ、あなたまで… 私だってくみの健闘を誰よりも
と、くみに対してアテナは
くみは皆の愛を一心に受けている事に感謝し、自分に
くみは、この幸せが永遠に続けばいいと願った…
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『次回予告』
大学時代からの親友同士でもある
次回ニケ 第11話「
にご期待下さい。
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