メタミステリ
そう、アリスはミステリ作家なのだ。しかも業界では”叙述トリックのアリス”なんて呼ばれるくらい、叙述トリックを使用した作品が多い。
「これを読んでる人たちの世界がうらやましいよ」
「ん、いきなり何を言い出すんだ?」
「いやだから、この物語を読んでる人たちの世界ではそんな訴訟は起こってないんだろうなって話さ」
「え、メタなの?」
メタとは、主にミステリ小説で使われる技法の1つだ。
例えば、”私はアリスを殺した”なんて文章がミステリ小説に出てきたら誰でも作中の主観視点の登場人物が殺人を犯したものだと思いこむけれど、”私”が作中の登場人物なんて書かれてないから、その著者が犯人でその自白を書き込んでいても通じるわけだ。このように、より上位の存在の視点を持ち出したりするのがメタで、それがミステリで使われると”メタミステリ”というわけだ。
「しかし、僕らが小説の世界に居るとは驚いたな。これ小説のネタにならないか?」
「ならない」
「え、これってかなり意外性があると思うんだけど」
「それは過去の話さ」
そう、メタミステリにしろ叙述トリックにしろ、通常のトリックにしろ、基本的にそのアイディアは一度しか使えない。そのため世にミステリ小説が増えるにつれて、どんどんアイディアは減っていく。もし、考えうるトリックが有限であるならばいつかはアイディアがぶつかり、それが故意にせよ偶然にせよ”パクリ”呼ばわりされる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます