THE STRANGE isLAND

五芒星

ストレンジアイランド

――曰く、その島では死者が使者となる。曰く、その島には祠しかない村がある。曰く、その島では水を飲んではならない。なにかに寄生されるから。曰く、その島で音楽を奏でてはならない。――なにかを、呼んでしまう。


太平洋の端にその島はある。大きさは図るたびに変わるため、測量は中止されてしまった。自然豊かな、しかし都市部はしっかりと発展している観光に持って来いの島――ようこそ、ストレンジアイランドへ。



『先日、クォーリレアを襲った巨大な獣は専門家によれば大型の熊だと――』


『セントラルパークで行方不明になったのはジョン・マクラールくん8歳、ジョン・マクラールくん13歳、ジョン・マクラールくん1歳の3人で、当局は――』


『海岸に打ち上げられた巨大な生物の死骸には近づかないでください。万が一、海に近い地域にお住まいの方で吐き気、頭痛、羽化の前兆を感じた方は――』


『クォーレリア53番地、2-1の信号機を発見した方はすぐに通報してください。くれぐれも捕まえようとはせず、最後に歩行していた地点を――』




――ここでは、叡智さえも無知になる。法則は意味をなくし、あらゆる常識は非常識へ、非常識は常識へ変わる。そして、それに誰も気が付かない。

     

        ようこそ、ストレンジアイランドへ。

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