第15話


「交番・・・・・・・ですか?」

「そう。そこで道を聞きます」

 

 空は唯一、学校から家までの道がわかるため、そこまでの道を聞き、アイを預かってもらおうと思っていた。


「此処はかなり発展しているのですね。街灯がついている場所など、私が来たところではありませんでした。どなたの魔力で補っているのですか?」


 空は、アイの言っていることが全くわからないが、無視するわけにもいかずに丁寧に説明する。


 しかし、アイは逆に空の言っていることがわからずに不毛な会話をしていた


(外国の人っぽいけど、日本語は流暢だよな。もしかして、俺のことを揶揄っているのか?)


 空はそう思いチラリとアイを見る。

しかし、その目は偽りを好まない純粋無垢な紅色をしていた。


 空は大きく溜息をつく。

数々の超常現象が真実を証明していた。


「気分を損ねてしまいましたでしょうか?」


「いや、そうじゃないです。とりあえず、どこから来たかは分かりますか?」


「私は王城で断罪された時に、何故か落ちていたんですよね。それで気を失って、気がつくと私は空様におぶられていました」


 空は断罪と聞き、この少女を見て一番最初に冤罪の2文字を思い浮かべたが、首を振る。


『何を飢えているんだ、俺は』


 空はとりあえず断罪などの触れにくいし話したくないだろうことを聞くのは避けようと思い、魔法のことを思い出す。


「まさか、その、変なことを言うかもしれませんが、異世界から来たみたいなことはありますか?」


「異世界? ってなんですか?」


「その元いた場所の名前はわかりますか?」


「ファンタズマです」


 空はどう聞いても異世界の名前に頭を抱えた。

揶揄っているのか、判断しづらすぎる。


「交番が見つかったら、お巡りさんに判断仰いでください」


「お巡りさんとは?」


「悪い人たちを捕まえたり、困ってる人を助けてくれる人です」


 アイはそれを聞いて、瞬時に元いた世界の騎士団の名前を頭によぎらせた。


 せっかく逃げ出せ、此処まで来れた


 おそらく、今戻れば・・・・・・

アイはそこまで考えてから思考を辞めた


(この人は私を知らないようね。では、何故あんなところに? 偶然いるような場所ではないはず・・・・・・。ここが本当にワコクかも怪しくなってきているのよね。情報が足りない)


 アイはここがワコクであり、召喚魔法でここに来させられたと思っていた。


 しかし、空の様子を見る限り、空が召喚主とは思えない


 誰か他に召喚主がいる

その人を見つけて匿ってもらう他ないと考えた

 

 しかし、もっと簡単な別の案が思い浮かんだ


 アイは90度に頭を下げて、深く頭を下げた


「空様。空様の家に居候させてもらってもいいでしょうか?」


「はい?」


 空は耳を疑った

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