俺の隣の人アンドロイドなんだけど
黒米
2年
〜春〜
第1話 新たな高校生活
俺の名前は「
いきなりだが正直このつまらん高校生活からは出来るだけ早くおさらばしたい。学校へ行くのにもこの500m近くある辛い坂道を登って行かなきゃならないし、着いたとしてもかなり面倒な授業を受けなければならない。
そんなことを考えてるうちにいきなり男が話しかけてくる。
「よっ!あいからわずシケたツラしてんなぁ〜!」
「うるせえな…こっちは忙しいんだよ…」
こいつの名前は「
だが、何だかんだでこいつとは仲良くやっている。
「そーいやもう俺ら2年かー早いなぁ!あ、そうそう!新学期で思い出したんだけど俺らのクラス転校生来るらしいぜ!」
「はいはい……」
「んだよその反応!……へーいいんだ、その転校生めちゃめちゃかわいいらしいけどなぁ!オレ付き合っちゃおうかなーー!!」チラッ
ピクっと俺の耳が反応する、俺が反応したわけではない。俺の「耳」が反応したのだ。そう俺「佐藤陽太」は人生で「彼女」というものができたことが1度もない!自分で言うのもアレだが容姿は普通……ぐらいだと思う。
そのクセこの男「伊藤俊夜」は、サッカーを幼い頃からやっていて運動能力も高く認めたくないが顔もそこそこイケメンだ、彼女も過去に数人居たらしい。ちなみに頭は俺の方がいいのだがな。
そうこう話している内に桜が綺麗に散っている学校についた。とともに俊夜が口を開く。
「……それじゃ、ちょいと俺女子に挨拶してくるわ!」
「ちょっ…おい!……ったく、しゃーない先に教室行っとくか。……えーと俺のクラスは2年の…」
玄関前にあるクラス表を見ようとしたその時。何者かに衝突した。
「うおっ……いてて……おい、大丈夫か?」
「……はい。問題ないです。」
「……!!!」
こちらを振り向いた少女は、綺麗な髪と顔立ちを見て軽く会釈をして立ち去った。
桜のせいだろうか、なぜか彼女がほかの女子より別物に見えた。
…………
〜教室ー
「それじゃあクラスメートの確認をしまーす。伊藤くん、……くん、……くん、」
新学期が始まり新たな先生が新しい生徒を指導する、まあ俺らのクラスは去年と同じ先生なんだけどな。
さっきから伊藤のやつがジロジロとあいつの席の後方にある俺の席を見てくる、あいつは何がしたいのだろうか。……それにしてもさっきの女子かわいかったなぁ〜。すると俺らの教師が語気を少し強くして言う。
「佐藤くん……佐藤くん!」
「あ、あぁっ!はい!」
「ったくもう…」
クスクス……と俺を笑う声がするような気がする。伊藤の野郎はこっちを見てにヤァと笑みを浮かべる、あいつは後で〆る。
……と教師が一通りクラスメートの確認を終えたところで話を繋げる。
「……もう知っている人もいるでしょうが、私たちのクラスに転校生が来てます。
………どうぞ、入ってきて。」
「!!!!」
俺は驚いた。ガラガラガラとボロい扉を開けたその刹那、先程の女子が俺らのクラスに入ってくる。
まさかとは思うがさっき伊藤が言っていた転校生ではないだろうな。
「こちらが新しいウチの生徒【
「了解しました。……私は佐東マイナです。数学は得意ですが現代文などの文系科目が苦手です。どうぞよろしくお願いします。」
彼女が一礼すると共に彼女の綺麗な少し長めのベージュの髪がなびく。その彼女の美麗さもあってか、自己紹介だけでクラスの大半が拍手をしていた。
教師は水を刺すように言う
「はい。拍手はそこまで。……マイナさん席いくつか空いてるけどどこがいい?」
いきなりその女子は俺の方を指さし口を開く。
「あの人の隣でいいです。」
「は?オレ!?」
クラスのほとんどがざわめく。当たり前だろう、去年からパッとしなくてこのクラスにとっていてもいなくても変わらなそうな俺の「隣」を指名したのだから。
「ハイハイ静かに。……らしいわよ佐藤くん」
「……ったく。」
「そうしたらマイナさん、早速席についてくれる?」
「了解しました。」
その「佐東マイナ」と言う名前の女子は席に着く動作をする。その動きだけでも男子だけではない、女子さえもが目を奪われていた。
「よろしくお願いします。サトーヨータくん」
「……よろしく。」
なにをクールぶっているんだ俺は。
………………
一通りの教室内でのイベントが終わり休み時間へと入る。もちろん、クラスは俊夜以外は見知らぬ顔ばかりだ。それは他の生徒もそのはず、教室内は一種の「膠着状態」へとなっていた。
するといきなり「佐東マイナ」が椅子から立ち上がりクラスの目線を一点に集中させる、それはもちろん俺もだ。だが、その女子だけは俺の方をみて衝撃の一言を言う。
「サトーヨータくん。私とお付き合い下さい。」
「…………はあああああ!?」
「返事はokという事ですね。それではこちらに」
「ちょちょちょ!ちょっと待てよぉ!」
「すいません、今【待つ】ということはできません。いきなりで申し訳ないですがデートに行きましょう。」
もう訳が分からない。脳の整理すら追いつかない間に「佐東マイナ」は俺の胸ぐらを掴み引っ張るように教室の外へと出た。
あぁ……終わったな俺の高校生活。
…………
〜校舎裏〜
なぜ俺は新学期早々こんな暗いとこにいるんだ。しかもあの女俺を片腕だけで引っ張りやがった。
すると例の女はすぐ近くに居たようで俺に話しかける。
「…お目覚めのようですね。サトーヨータ」
「……ホントによく分からんけど悪い夢を見ていたらしい。でいきなり何なんだよお前ぇ!」
「込み入った話をしたいが為に人気のない場所へ少し、移動させて貰いました。」
「【少し】ってお前教室からここまでかなり距離あるぞ!?……一体何がどうなってんだか……」
「まあそんな話はどうでもいいです。本題に移りますね。私の使命はとある高校生の高校生活をサポートするために、ここに参りました。
その高校生とはサトーヨータ、あなたのことです。」
「お前は一体何者なんだよ……」
「私はアンドロイドです。」
「は?」
新しく始まった俺の春は、終わった。がこいつと始まる奇妙な桜が咲くかもしれない。
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