第6話「狩り」
ここは遠い世界。謎の竜人を解放するべく王との賭けに出る星彦丸。そして約束通り夜明けと共に「カッパーウルフ(銅狼)」の狩りが始まる。
現在地点 西方砂漠「カッパーヤード(銅の大庭園)」
六話「狩り」
三人は王の手配した砂上船でカッパーウルフの生息地であるカッパーヤードへ行った。まだ肌寒い砂漠の夜明けと共に狩りが始まる。
~谷の巣~
「ロケットストンプ!」
「ファイアランス!」
リリアとリルムは巣でまだ寝ているカッパーウルフを攻撃し確実に仕留める。
「い・・・行くぞ・・・!」
星彦丸もまた、脇差で奴らの頭をぐさりと刺して殺す。
五匹ほど狩った頃、その血の匂いに気が付いて目を覚ます狼。狩りが始まる・・・一匹が吠えるとそれに呼応し皆吠える。鋭い視線が幾つも向けられる。
「星彦丸は自分の身を守る事に専念するんだよ!?」
「分かってるよ!」
何でも噂によると人間と猫が檻の中で戦ったら人間は刀でも持っていないと対等ではないとか何とか。ではこの谷ではどうか。そんなの不利に決まっている。
だが、二人は強い。
「喰らえ!炎の魔法!火炎放射!」
リルムの手から火炎が放たれ周囲を焼き払う。これに最低三匹は巻き込まれ絶命した。
「わんこと戯れるのも好きよ?」
そう言って狼に接近するリリア。狼は大きく振りかぶって噛みつこうとする。だが、それよりも数倍早くリリアの蹴りが放たれる。一撃で絶命した。
「夜明けまでどころか朝には片付きそうだね!」
星彦丸は息を潜め岩陰に隠れている。隠れやすい大きくヘンテコな形の岩だ。辺りに濃厚な獣と血の匂いが漂う。するとどんどんと狼がやってくる。
だが、何かに警戒しているようだ。遠吠えを繰り返す群れ。もしや、もしや血の匂いに引かれた大型の獣がやって来るか?辺りに緊張が走る。狼の群れは岩を囲う。
「や・・・ヤバいよ!僕食べられちゃう!」
思わず飛び出そうとした時であった。
何と、岩が動き出したのだ。大きく揺れながらどんどん盛り上がって最後には大きなトカゲ状の岩が姿を現した。トカゲ状の岩はそのまま歩き出し、近くの死体を丸呑みにした。狼の群れは一斉に飛び降り攻撃を開始する。しかしその鋭い爪も牙も岩肌の前には無力。
トカゲ状の岩がその巨大な尻尾で左右に薙ぎ払うと狼の群れはあっという間に壊滅した。
「不味いわね。逃げましょう!リルム、星彦丸!」
「今回は逃げるんだね!良かった!」
「砂上船まで急げー!」
三人は気付かれないように走り出すが・・・。
トカゲ状の岩はこちらを見た。そして咆哮する。
「いーやー!」
「走るのよ!全速力で!」
「逃げるが勝ちってね!?」
トカゲ状の岩は息を吸い込むと火炎球をそこらじゅうに吐き出した。
「あんなの当たったらひとたまりもないっ!」
「でも、脚は岩だけに遅いみたいだねっ!」
「とにかく、逃げるわよ!」
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