第30話着せられた濡れ衣
「ほら、宿に着いたよ。明日は遅刻しないように来るからね。」
カールは二人を宿に送り届けると、すぐに出発しようとしていた。
「カールさん!」
「ん?なんだい?」
「明日の事なんですけど、明日は二人で行動しようと考えていて、だから明日は来なくても大丈夫ですよ。」
「い、いったいどうして!?まだ、案内するところはほかにあるんだよ?」
カールは何か焦っている様子だった。
「いえ、ただアランさんと二人で観たいところがありますので。」
「それなら、送るくらいならできるじゃないか!」
アランは食い下がらカールに近づき耳打ちをした。
「カールさん明日はレイミヤさんと二人でいたいんです。わかってください。」
カールは何も言えなかった。
「なので明日、カールさんはカールさんの時間を過ごしてください。」
「わ、分かったよ。」
カールは馬車を走らせて帰っていた。
「アランさん行きましたね。」
「ああ。」
アランはレイミヤに振り返った。
「アランさんその目!」
アランはカールのことをアンドロマリウスの千里眼で観ていた。
「あとは部屋でゆっくり話そう。」
アランはレイミヤを連れ部屋に戻っていった。
「ここの宿にこんな顔の青年はいませんかな?」
受付に兵士が5人険しい表情で訪ねてきていた。
「隊長、あの青年では?」
一人の兵士がアランを指さした。
「あの青年の部屋を教えてくれ。」
アランとレイミヤは椅子に座り話し合いをしていた。
「レイミヤさん今日カールさんに会った時のことを覚えてる?」
「ええ、覚えています。」
「カールさんは昨日レイミヤさんが言った通り、俺たちがドーボさんに物を貰っていることをカールさんは知る由もなかった。」
「では何故カールさんは知っていたんでしょう?」
「問題はそこだ。」
「主様お話の途中申し訳ございません。」
二人が話している中ハーゲンティが話に混ざってきた。
「どうした、ハーゲンティ?」
「はい、主様。カールという男についてなのですが、主様を迎えに来た時あの人間から血の臭いがしていました。それもまだ新しい血の臭いでした。」
「それは間違いないのか!?」
アランハーゲンティから告げられたことに驚いていた。
「はい、あの男の血でないことも確実です。」
アランは身で手を口元に当て左手を机に置き人差し指を上下に動かしていた。
すると部屋の鍵が開きドアがいきなり開き兵士が3人部屋に入ってきた。
「ハーゲンティ、一度戻ってくれ。」
兵士がハーゲンティの姿を見る直前にハーゲンティは本へと戻っていった。
「動くな。動けば斬るぞ。」
兵士の二人がアランとレイミヤに剣を向けた。
アランとレイミヤに隊長が近くにやってきた。
「貴様ら昨日ドーボの店に行ったか?」
隊長は険しい表情でアランに質問した。
「ああ、昨日隣の女性と素材を売りに行っただけだ。なぜそんなことを聞く?」
「それは、ドーボの店の店主ドーボが何者かに殺されたからだ。」
隊長の口から衝撃の一言が告げられた。
「そんな馬鹿な!?だが、それとこれはいったいどういう関係があるんだ!?」
「店からお前が出たという報告を得ている。それにある人からお前が殺したという知らせも届いているんだ!!」
「そんな、アランさんがそんなことするはずがありません。」
「黙れ小娘!!」
「詳しいことはあの人に言うんだな。」
「おい小僧、こいつら操られているぞ。誰かは知らんが催眠の魔法がかけられている。俺が殺すか!?」
フラウロスがアランに頭の中に話しかけてきていた。
「殺すのはだめだ、それに仮にお前が殺さないでつかめたとしてもこの宿が燃える可能性がある。」
「何をぶつぶつ言っている!?あの人は信頼が最も高い人なんだ。お前らが犯人に決まっていいる。お前らこいつらを連れて行け!!」
隊長がそう言うと後ろか縄を持った二人の兵士が部屋に入ってきた。
「ソロモン72柱の悪魔のうちの一人、疑獄の伯爵アンドロマリウスよ、我が名の元に汝に命じる我が召喚に応じ、今ここに顕現せよ。」
アランは兵士を振りほどきアンドロマリウスを召喚した。
「ロマリス、こいつらを動けないようにしてくれ!!」
「承知した。」
アンドロマリウスは蛇の腕を構えた。
兵士はレイミヤを離し部屋にいる兵士は目の前に現れたアンドロマリウスに恐怖で震えていた。
「な、なんだこいつは。お前らどうにかしろ!」
隊長は我先にと兵士を押しのけ部屋から出ようとすると脚に何かが巻き付いた。
脚を確認すると蛇が足に巻き付いていたのだ。
隊長は振り返ると兵士は倒れ体を小刻みに震わしていた。
「た、頼む。命だけは。」
隊長はアンドロマリウスに命乞いをした。
「坊主を捕まえろと言ったのは誰だ!」
アンドロマリウスは隊長を顔の近くまで持ってきて脅した。
「答えます、答えますから命だけは。」
「早く答えろ!!」
「はい、か、カールです。」
「そうか。」
隊長の首に一匹の蛇が嚙みついた。
隊長は泡を吹きながら気絶した。
アンドロマリウスは隊長を床に落とした。
「ロマリス、まさか殺したのか?」
アンドロマリウスの後ろにいたアランが隊長の様子を見て聞いた。
「まさか、ただしびれさせたに過ぎない。人間はやはり脆いな。」
そう言ってアンドロマリウスはネックレスに戻っていった。
アランは座り込んでいたレイミヤに駆け寄った。
「レイミヤさん怪我はありませんか?」
「ええ、何ともありません大丈夫です。」
「カールが遅れてきた理由は恐らく俺たちを迎えに来るときにドーボを殺害してから迎えに来たんです。だから、息が上がっていた。そして、カールがドーボさん殺害したのにもかかわらずその犯人を俺たちに擦り付け。兵士を操り俺たちを捕まえようとした。」
アランは鼻を高くしていった。
アランは、捕まえに来た兵士、カールの迎えに来た時の様子と話した内容を結び付けた。
「それだとしても、なぜカールさんは私たちをドーボさん殺害の犯人にしたのでしょう?それにわざわざ兵士を操ってまで私たちを捕まえようとする理由は?」
それを横目にレイミヤは まだ考えていた。
「それは、分からないでも、ドーボを殺した罪の濡れ衣を着せたのも、兵士を使い俺たちを捕まえようとしたのもカールだ。幸い千里眼で居場所はわかる。」
アランは千里眼を使いカールの居場所を確認した。
「そんな、まさか。」
アランは千里眼で確認した場所を見て驚いた。
「どうしたんです?カールさんはいったいどこにいるんですか?」
レイミヤが聞くとアランは窓を開け一点を指した。
「カールがいるのはオンバスの国の城の中だ!!」
「おそらくあんな兵士どもじゃあ役に立たんだろうな。ここに来るのも時間の問題か。いいだろう、相手になってやる。そこの兵士!。」
玉座に座るものが立っている兵士を呼びつけた。
「ハッ!なんでございましょう。」
兵士は跪き頭を垂れた。
恐らく近いうちに客が来るその名はアラン。そいつが来ても何もするなよ。」
「かしこまりました。」
兵士は立ち上がりほかの兵士にアランのことを話した。
「レイミヤさん、ここで待っていてください。もし相手が悪魔ならあなたを守れる保証がありません。私はカールになぜこんなことをしたのか真相を確かめてくる。」
そう言ってアランはレイミヤを置いて一人城を目指すため部屋から出ようとした。
「待ってください。」
レイミヤがアランの腕の裾をつかんだ。
「私も行きます。私がいなかったら誰があなたの傷を治すのですか?」
「だとしても、あなたを危険にさらしたくはないんです。傷なら回復薬で何とかなります。」
「回復薬は応急処置にすぎません。私がいたほうが完璧に傷を治すことも可能なのです。それに私にはこれがあります。
そう言ってレイミヤが取り出したのは武器屋で買ったナイフだった。
「アランさんはこれを、もしものために私に買ってくれました。私はこれを使って何とかしてみます。だからお願いします。私も一緒に連れてってください。」
レイミヤはアラン頭を下げた。
宿の廊下にレイミヤの声がかすかにこだましていた。
アランはそんなレイミヤを見て、頭を悩ました。
アランの眉間にはしわが集まっていた。
「分かりました。一緒に行きましょう。」
レイミヤはその言葉を聞いて頭を上げるとアランはレイミヤに手を指し伸ばしていた。
レイミヤはアランの手を取るとアランがレイミヤの手を握った。
アランはレイミヤを連れ宿を離れ城を目指した。
「レイミヤさん気づいていますか?」
「ええ、なんだか町の人の様子がおかしいです。」
二人が城を目指している道中人とすれ違うと町中の人は二人を見ていた。
「なんだか変だ。人目を避けて城を目指しましょう。」
アランは家と家の間を主に通り城を目指していたが、相変わらず誰かに見られていた。
アラン達が通った後の家の隙間や窓越しからアラン達を常にだれかが見ていた。
その光景は異常だった。
それでもアラン達は城を目指した。
そして城に到着した。
「結局、人目は避けることができませんでしたね。」
アラン達は城の門の前まで到着した。
城の門番がアラン達に気づき歩いて向かってきた。
「君がアランかい?」
「ああ、そうだけど?いったいどうして俺の名前を知っているんだ?」
「君を通せと聞かされているさあ、中へ入りなさい。」
兵士はアランの質問に答えず城の中へと通した。
「小僧、こいつもあの兵士と同じだ。操られてやがる。」
「どうやらそうみたいだな。」
アランは兵士に招かれるまま城の中へと入っていった。
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