第27話不気味な仮面
アランとレイミヤは部屋に入ると気まずい空気になった。
「レイミヤさんがここで寝てください。俺はソファーで寝るので。」
「えっ!、あっ、はい。」
どうしようどうしようこんなの予想の範囲を超えちゃってますよ。
アランさんもベッド使ってくださいっていうべきなんだろうけどそんなこと言ったらそういう風に思われちゃうだろうし。えー!えー!いったいどうしたらいいのー!
レイミヤはアランの横でしゃがみ頭を抱えた。
「それじゃあ、僕はソファーで横になってますね。」
アランは寝室にレイミヤを残してドアを閉めた。
カール―――!!確かにこの部屋はすごいけどせめてベッドは二つがよかったな――!いや、部屋を用意してくれたのはありがたいんだけどね。それでもな――。
その日二人はあまり眠れなかった。
「主人よ、あの男と女二人とも悪魔を連れているぞ。しかも、男は三人もの悪魔を連れておる。このままでは我々の未来は危ういことになりかねない。早急に手を考えねば。」
「そうか、それは残念だな。せっかく仲良くなれたのに。もうすぐでお別れか。」
玉座に座るもの玉座の横に立ち話しかけるもの
「おはようございます、アランさん。」
レイミヤが寝室のドアを開けて部屋を出てきた。
すでに身支度を済ませて今にもどこかに行ける準備はできていた。
「おはようレイミヤ。」
アランはまだ眠そうな顔で起きていた。
二人が起きるとドアがノックされた。
「おはようございます、朝食をお持ちしました。」
レイミヤがドアによりドアを開けた。
「はい、ありがとうございます。」
「失礼します、こちらが本日の朝食です。」
従業員は朝食を置くと部屋を出ていった。
朝食はブラウン亭で食べていたごはんよりも量が多く、品数も豊富だった。
「改めて思いますけど、カールさんはすごい人ですね。兵士とも、このホテルの受付の人にも顔が知られていて。」
「ええ、とてもただの行商人とは思えませんよね。」
二人は運ばれてきた朝食を食べ、町の地図を見ていた。
「今日はとりあえずこの町の様子を見ましょう。もしかしたらすでに何か起きているのかもしれないから。入ってきた門から左半分を今日は見て明日は残りの半分を見ましょう。」
アランとレイミヤは目標を決めると部屋を出て受付の前を通った。
「あっ、アランさん?」
受付にはカールが受付の人と話していて、アランに気づき話しかけてきた。
「カールさん。」
「どうだった?よく眠れたかい?」
「ええ、立派な部屋で驚きましたがゆっくり休めましたよ。」
実際はそこまで休めていなかった。
「そうかい、それならよかったよ。これからどこに行くんだい?」
「とりあえず町を見て回ろうと思いまして。道中に狩った素材を売って資金調達もかねて。」
アランはカールに狩った素材の一部を見せた。
素材には所々に焦げた跡がついているものがあった。
カールはそれを見て目の色を変えた。
「焦げているようだけど、どうしたのかな?」
声のトーンも少し下がったようだった。
「あー、これはちょっと魔法で焦げたんだと思います。」
「そっか・・・町を見るなら僕が案内するよ。」
「えっ、いやさすがにそれは悪いですよ。」
カールの誘いをアランは手を振り断った。
「気にしなくてもいいよ、帰ってきたばっかりでしばらくは仕事がないからね。ほらさあ、行こう。」
カールは二人の後ろに回り込み背中を押して強引に宿の外へと出し荷台に乗せた。
アランとレイミヤは荷台に乗りながら町の様子を見た。
町はいたって普通の様子だった。
人が少ないわけでもなく多いわけでもない。
所々に店が開かれており人の出入りは多かった。
食事をするところ、服を売っているところ、家具を売っているところ、装飾品を売っているところなど店の種類は多種多様だった。
「アランさん、どうだいこの町は?豊かなものだろう。」
町を歩いてる人はカールに気づくと手を振る人が多々いた。
「カールさんはすごい人気物ですね。」
「そんなことないよ、誰も元は困っている人たちで助けているうちに仲良くなっただけだよ。」
カールは笑いながら頭に手を置き照れた。
「カールさん。」
「ん?どうしたんだい?」
「その、俺にさん付けはしなくてもいいですよ、カールさんの方が年上なわけだし。
「そうかい、じゃあアラン君と呼ばせてもらうね。」
「いや、君付けも・・」
「さあ、アラン君着いたよ。君の持っている素材を売るならここが一番だよ。」
アランが話すを遮るとカールはある店に到着した。
到着した場所の看板にはドラゴンの頭の骨が書かれた店だった。
店の名前はドーボと書かれていた。
「僕はここで馬と待っているから君たちだけで行ってくるといいよ。」
カールはアランとレイミヤが店の中に入っていくのを見届けた。
ドアを開けるとベルが鳴りだが開いた。
店の中にはいろんな種類の素材がそのままの状態でショーケースの中に入った状態でおかれていた。
室内は薄暗く何かの頭蓋骨もあるので薄気味悪かった。
アランは、そんな室内を見てひとり興奮していた。
レイミヤは眉間にしわを寄せて引いていた。
「男の人ってホントこういうの好きですよね。」
ボソッとレイミヤがつぶやいた。
「何か言った。」
素材を見てたアランがレイミヤの方に顔を向けた。
「いえ、なんでもありません。」
レイミヤはアランの方に寄って行った。
アランが素材を見ていると一つの仮面に目が引き寄せられた。
その仮面は縦に長い不気味な仮面だった。
「それにしても、暗い場所ですね。」
アランは仮面に手を伸ばして手に取ろうとした瞬間
「ここで一体何をしておる。」
どこからともなく不気味な声が聞こえてきた。
アランとレイミヤは身を寄せ合った。
「誰だ!!」
アランはあたりを見渡し名が大声で言った。
「それはこっちのセリフだ。」
アラン達から遠いほうからアラン達の方に向けて明かりが順に消えていった。
消えていく明かりが迫ってくるとアラン達は後ろに後退した。
アランとレイミヤの脚が当たり二人は転んだ。
店は真っ暗闇に包まれた。
次の瞬間目の前に一本のロウソクの火がともった、火に近づくと暗闇の中からアランが見ていた不気味な仮面が現れた。
「キャァ―――――!!」
「ギィヤァ――――!!」
アランは持っていたナイフを構え、レイミヤは悲鳴を上げた。
悲鳴の中にはもう一人の悲鳴が聞こえた。
カールが悲鳴を駆け付けドアを開けた。
「アラン君!!」
ドアが開くと日の明かりが店の中を照らした。
ナイフを構えるアラン。
うずくまり頭を抑えるレイミヤ。
転がっている仮面。
「いったいどうしたんだい?」
カールがアランに近づき事情を聞いた。
「その仮面がひとりでに動いたんだ。」
アランは転がっている仮面にナイフを向けた。
「おいおい、そんな危ないものしまえって。」
カールはアランの手首をつかみナイフを下げた。
「ドーボのばあさん、いるんだろ?」
カールはあたりを見渡しながら誰かを呼んだ。
すると棚の反対側から一人の老婆が現れた。
「全く急にナイフなんか出すもんじゃあないよ。」
老婆は杖を突きながらこちらに寄ってきた。
「ばあさん、またいたずらしたのか?」
カールは転がっていた仮面を持ち老婆に突き出した。
「そんなものは知らないよ。」
老婆は目をつぶり明後日の歩行を向いた。
「ばあさん、こんなことばっかしているから人が来なくなるんだろ。」
「仕方ないだろ、私はね人が驚く顔が好きなんだよ。」
「じゃあ、やっぱりばあさんが犯人だね?」
カールが老婆に詰め寄った。
「・・・ああ、そうだよ。私がやったんだよ。」
とうとう自分がやったことを白状した。
「全く、二人ともごめんねだいじょ・・うぶではなさそうなのが一人いるね。」
レイミヤは一人泣きながら震えていた。
レイミヤは鼻をすすり何とか立てるようになった。
「紹介するね、こちらが・・・」
「わざわざそんなのいらないよ、この店の店主のドーボだよ。いつまでもめそめそしてるんじゃないのそこの嬢ちゃん。」
ドーボはレイミヤの背中を数回たたいた。
「今度は、しっかりしてくれよ。」
そう言ってカールは店から出ていった。
「それで、ここに来たってことは何の素材を持ってきたんだい?」
アランは持っていた素材をカウンターの上に出した。
「ふうん、ずいぶんとまあため込んでいたようだね。どれどれ。」
ドーボは、眼鏡をかけ虫眼鏡や羽箒やブラシを使い真剣な眼差しになり鑑定を始めた。
鑑定をしている最中アランは店の中を物色していた。
レイミヤはカウンターの前でおとなしく椅子に座っていた。
アランが出した素材は意外にも多くて、鑑定が終わるころには太陽は傾いていた。
アランも店の中を物色し終わりカウンターの前でおとなしく二人で座っていた。
「終わったよ、全く次来るときは貯めないで定期的寄るんだね。ちょっと待ってなお金持ってくるから。」
アランとレイミヤは立ち上がりドーボが帰ってくるのを待った。
「ほら今回の買取料の16万スイね。」
ドーボはお金が入った子袋をアランに手渡した。
「ありがとうございます。」
レイミヤはアランの後ろで頭を下げた。
「それはそうと、二人とも何か何か連れて歩いているのかい?」
ドーボはいきなり質問してきた。
「それってどういう?」
「いや、この年にもなると変な勘が働くのかね二人に変な感じを感じてね。変なこと聞いて悪かったね。それと、カール私はどうもあいつが気に入らない。まるで人の過去を知っているのな事を聞いてきたり、先のことを見ているかのようなことをするから気味悪くてね。」
ドーボはカウンターから出てきて棚の品を一つ取った。
「これ持っていきな、もしかしたら何かの役に立つのかもしれない。このことは誰にも言うんじゃないよ。」
ドーボはアランに紫色の巾着をアランに渡した。
「今日はありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
二人はドーボにお礼を言って店を後にした。
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