第17話目覚めたレイミヤ
「熱い熱い熱い。」
ブエルは火だるまになりながら地面を転がった。
雨でもすぐにはブエルの火を消すことはできなかった。
「クルーラ、クルーラ!!」
ブエルは燃えながら右手を胸に当て回復魔法を使った。
何度も何度も使った。
それでも直したところで火は収まらず直しては燃えてを繰り返すだけだった。
上空ではいまだにハーゲンティは水をワイン変えていた。
アラン、フラウロス、アンドロマリウスは燃えているブエルをただ見ているだけだった。
次第に火は弱くなりブエルの体から火は消えた。
ブエルも魔法の連発で途中で魔力が無くなり完全には傷を癒せなかった。
火が消えたブエルは、所々に火傷を負っていた。
ハーゲンティは魔法をやめ、アランの近くに降りた。
ブエルはその場に横になったままで動けそうにはなかった。
「よくも、私にこんなことを絶対に許さない。」
ブエルは顔を上げアランに言った。
アランは、ブエルの近くまで寄りブエルに命令した。
「その体の持ち主を今すぐに開放しろ。そして、俺の力になれ。もし、拒否をするのならお前を今ここで灰に変えてやる。」
ブエルは何とか逃げ出そうと周りを見渡してみると、アランの後ろではフラウロスがいつでもブエルを燃やせるように炎を出していた。
アンドロマリウスとハーゲンティはブエルの後ろに立ち逃げ場を無くした。
ブエルにはアランの答えに首を縦に振るか、死ぬかの二択しかなかった。
「さあ、どうする?」
アランはブエルに解答を聞いた。
アランの顔はブエルを見下していた。
ブエルは、唇を強く噛んだ。
その唇からは血が流れていた。
そしてブエルは答えた。
「わかったわ、あなたに従うわよ。」
ブエルはアランの仲間になった。
アランはフラウロスを残してハーゲンティとアンドロマリウスの二人を元に戻した。
「おい、ブエル俺の左腕を治せよ。いや、生やせよが正しいのか?とにかく治してもらおうか。」
フラウロスはブエルに傷口を見せながら言った。
ブエルは反抗するかと思ったがあっさり承諾した。
ブエルは両手をフラウロスの傷口に向けて
「リジェネレイド。」
と唱えた。
そういうと、ブエルの手は黄緑色に光った。
光の中でフラウロスの左腕が急速に再生を始めた。
あっという間にフラウロスの左腕が元に戻った。
治った左腕をフラウロスが動かしたり魔法を使えるか試した。
「何も問題はないな。」
フラウロスは腕が治って嬉しそうだった。
「さて、次にレイミヤを解放してもらおうか。解放したらこのブレスレットに移ってもらおうか。」
アランは、バッグからブレスレットを取り出すとブエルの前に差し出した。
「契約解除。」
そうブエルが言うと体は光だし元に戻り始めた。
ブエルとレイミヤが分離するとレイミヤは地面で横に倒れ、ブエルはアランが出したブレスレットに移った。
アランは、ブエルがブレスレットに移るのを確認すると倒れたレイミヤに目を向けた。
アランはレイミヤからすぐさま目を逸らした。
ブエルが体を変化させたせいでレイミヤが本来着ていた服が無くなっていた。
レイミヤは雨の中一糸まとわぬ姿で横になっていたのだ。
アランはすぐさま、自分の服の一枚をかけた。
アランはレイミヤを抱きかかえると、フラウロスを戻し、人目があまりない道を進みブラウン亭に帰った。
レイミヤを一先ずベッドに横に寝かせた。
ブエルとの契約を後回しにして、レイミヤの看病を簡単に済ませると、アランは倒れてしまった。
悪魔の同時三体召喚、魔法の使用でアランは魔力切れを起こしてしまったのだ。
「また、悪魔を仲間に一体何が目的なのあいつは。そろそろ、見極めが必要ね。」
アランの部屋が見える近くの家の屋根でアランを見ているものがいた。
‐ガタッ‐
アランの部屋で物音がした。
アランが目を覚ますと体にはレイミヤにかけていたはずの布団がかかっていた。
ベッドに目をやるとレイミヤがすでに目を覚ましてベッドに座っていた。
レイミヤはもう一枚の布団を服の代わりに体に巻いていた。
窓から日の光が差し込みレイミヤの金色の髪がより一層輝きを放っていた。
「おはようございます、ベッドに運ぼうとしたのですが私の力では動かすことができなかったので、一応布団をかけておいたのですが起こしてしまいましたか?」
レイミヤが、アランの顔を覗き込み心配そうな顔で聞いてきた。
「ああ、問題ない。」
アランは立ち上がり椅子に腰かけた。
「一つ聞きたいのだけど寝る前の記憶はある?」
アランは念のためレイミヤのどこまでの記憶があるのか確認した。
「ええっと、確かいつも通り図書館で勉学に励んでいると天使様の声が聞こえてそれで・・あれ?そのあとの記憶が。」
レイミヤが記憶の整理をしているとどうしてここにいるのかわからず混乱しているようだった。
「落ち着いて聞いてください・・・。」
アランはレイミヤになぜここにいるのか説明した。
「そんな、天使様だと思っていたのが実は悪魔で、私の体を使って悪事を働いていたなんて、それでその悪魔はアランさんとの戦いの後その腕についているブレスレットにいると。」
レイミヤは、アランの説明が信じられなかった。
アランはレイミヤに信じてもらうためにハーゲンティを召喚した。
ハーゲンティを出したのは他の二人よりも安心できると判断したからだ。
「お初にお目にかかります、地獄の総裁ハーゲンティです。」
そういうとハーゲンティはグリフォンの翼を背中から広げ自己紹介した。
レイミヤはハーゲンティを見ると壁まで下がり怯えていたが最初だけで深呼吸をしてハーゲンティに改めて説明を聞いた。
今度はアランの話したことが本当であるとレイミヤは信じた。
「疑ってしまって、申し訳ありません。神を崇拝する身であるので容易に悪魔を信じられなかったのです。命の恩人でもあるのに本当に申し訳ありません。」
レイミヤはアランに土下座して謝った。
土下座すると布団がめくれてレイミヤの白い肌がどんどん見え始めた。
「分かったから頭上げて。とりあえず何か着るものと食べる物買ってくるからここで待ってて。」
アランは急いで部屋を出て買いものに出かけた。
部屋に一人になったレイミヤは窓を見て何か思いつめた表情をしていた。
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