第15話正体

「お兄ちゃん!」


知らせを聞いたレナが急いでダンの元へとやってきた。


「ねえ、アラン何があったの?お兄ちゃんは平気だよね?」


レナがアランに何があったのか聞いてきた。


「ダンは昨日の夜見回りを最中に襲われたらしい。何とかギリギリのところで助かったらしいけど、意識が戻らないんだって。」


アランがレナに一通りのことを説明するとレナはダンのところに行き手を握って泣き出した。


それを見てられなかったアランは、外へと出て人気がいないところに行った。


「なあ、フラウロス俺に何を言いたかったんだよ。」


ダンの意識が未だに戻らずフラウロスに何を言おうとしていたのか聞いた。


「ようやく聞く気になったか、いいかよく聞けよ。今この町で起きている襲撃者の犯人もといダンを襲った


 犯人はあの聖女だ。」


フラウロスの口からダンを襲った犯人の名前が告げられた。


それがまさかのレイミヤだった。


「嘘だ、そんなはずはないだってあの人は目が見えないんだぞ。なのになぜ人が襲えるんだよふざけるのもいい加減にしろよ!!」


アランはフラウロスから言われたことを認めようとしなかった。


「ふざけるなだと?笑わせるな、ふざけているのはどっちだ。かわいい女に見惚れて俺の言うことを聞かないからこんなことになったんだろうが。昨日の時に俺の話を聞いていれば何が俺と同じ思いをさせる人を増やさないために悪魔収集家になるだよ聞いてあきれるぜ。気が抜けてるにもほどがあるぞ。そうやって事実から逃げたいのならそうしろよ、お前ひとりが事実から逃げたって現実は何一つとして変わりはしないんだからな。ダンがこうなったのもすべてお前の責任だ。」


アランは何も言えなかった。


アランは自分が許せなかった。フラウロスの言っていたことが事実だったから。


「俺のせいでダンは、俺が話を聞かなかったから。俺の気が抜けていたから。俺がもっとしっかりしていれば・・・」


アランは自分を責め続けた。


アランが自分を責めている中、雨が降り始めた。


次第に日が暮れていき夜になった。


アランは静かに立ち上がり、教会へと向かった。


その日の雨は強く降り、雷も鳴っていた。


アランは濡れた体で教会の中へ入るとレイミヤが出迎えた。


「こんな夜遅くにどうしたのですか?」


レイミヤが心配しながらアランに駆け寄る。


「本当にあなたなのですか?」


アランがそうつぶやくとレイミヤは止まった。


「何のこと?」


レイミヤの様子が変わった。


さっきまで明るかったのに急に暗くなった。


「ダンを襲ったの本当にあなたのですか!!」


アランがレイミヤにそういうと教会の中を照らしていたロウソクの火がすべて消えた。


暗い中でレイミヤの体が変わっていくのが分かった。


鎖骨の下あたりからは二本背中からは三本のヤギの脚が伸び始めた。


髪の毛は異様に伸び始め、足は異様に発達して大きな爪が現れた。口からは牙が生え、舌は長く伸び目はヤギのような目になっていた。


人の背丈なのにその姿は驚愕の姿をしていた。


「この姿を見たのはこの町ではあなたが初めてよ。普段はマントで隠しているからね。」


その姿は、今まで見てきたレイミヤの姿の原形をとどめてはいなかった。


変身したものは一人で話し始めた。


「あなたも悪魔なのでしょ、私と同じ気配がするけど三つあるのは変よね?一体どういうこと?


どうしたの黙っちゃって、この姿を見て驚いちゃった?あの姿は、都合がいいから残してあるだけ。


聖女ってみんなああなのかしら、純粋というか馬鹿というか、私が天使と言ったら疑いもせずに私のことを信じたのよ笑えるわ。治癒能力を授ける代わりに私のお願いを一つ聞いてと言ったら、難でもしますというから体をもらってあげたわ。あなたにも見せてあげたかったわよ、この子の泣く顔体を奪うときなんか一人で助けを求めちゃってとても可愛らしかったわ。」


アランは話をきいている中で安心と怒りを得ていた。


「ねえ、いつまで黙っているつもり?そろそろあなたの本当の姿も見せてほしいわ。」


アランは、大きく一息つくと


「よかったよ、なんの迷いもなくお前を殴れそうだ。」


その者は、アランが言っていることはわかっていなかった。


「?急に何を言い出す、!?いない、どこ!?」


その者が話している中アランは視界から消えた。


次の瞬間アランは背後に周り拳を振った。


油断していたのか見事に頭に命中。


そのものはぐらついた。


「あなたいったい何者!?」


まだ状況を理解していなかった。


「俺か、俺はお前ら悪魔を封印するもの「Diavolo Collezionista」だ!!」


そのものは態勢を直し戦闘態勢に入った。


「ふーんそうなんだ。いいわ、私も自己紹介してあげる


 私はブエル、地獄の大総統、治癒師のブエルよく覚えておきなさい人間。」


アランは後ろに飛びブエルとの距離を開けると


「ソロモン72柱の悪魔のうちの一人、地獄の侯爵フラウロス、伯爵アンドロマリウスよ、我が名の元に汝らに命じる我が召喚に応じ、今ここに顕現せよ。」


アランの目の前に炎の魔法陣と蛇の魔法陣が現れた。


「人間が悪魔を使役しているなんて。」


ブエルはアランが二人の悪魔を召喚したことに驚いていた。


フラウロスは人の姿で現れアンドロマリウスは下半身が蛇、上半身が人間、左腕は無く右腕からは蛇が三匹生えた姿で現れた。


「ロマリスよ、俺の邪魔だけはするなよ?」


フラウロスは両手に魔法陣を展開してアンドロマリウスに一声かけた。


「かしこまりました、フラウロス様。」


アンドロマリウスは右腕の蛇を前に出すと、三匹の蛇は口を開け空気を出す音で威嚇した。


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