第2話悪魔の正体

窓から朝日が差し込み顔が朝日に照らされて目が覚める。


目が覚めたアランは、自分の右手の内側を恐る恐るのぞき込む。


「頼む、夢であってくれ。」


そう望むアランであったが、右手の内側には赤い宝玉がいまだに埋め込まれていた。


それを見てアランはまた、絶望する。


「やっと起きたか。」


またあの声だ。こちらをあざ笑うかのような声。


「昨日話したことで納得できたか?」


昨日の話では、この悪魔は何千年も前にソロモンという悪魔使いに仕えていたが、ある日そのソロモン本人に封印されたそうだ。なぜあの場所にいたのかは悪魔自身もわからないらしい。封印されてからの記憶はないらしく、話しかけてきたのも残っていた魔力を使ってのことらしい。


何故右手についたのかは答えてはくれなかった。一度はめ込まれたものはもう取れないと悪魔は言う。


「なあ、おま・・」


悪魔にまた質問しようとすると


「アラン、起きてるか?朝ごはんだぞ。早くおりて来いよ~」


ロンがいきなり部屋に入ってきて、下の階に来るように言ってきた。


「ああ、わかったよ。」


俺はロンにそう言った。


ロン達と朝食を食べ終わるとロンに出かけると一言告げてロンの家を後にした。


この町は近くに森がありその森には時折獣が出るらしいが最近は、目撃報告が出てないのでアランはその森に入っていった。


アランは森の奥へと入っていくと、一本の大きな木の下で座り込み右手の宝玉を眺めた。


「その宝玉綺麗だろ?そんなものに封印されていたとはな、知らなかったな。」


悪魔はこの宝玉はもう取れないといったが、興味本位で取り出そうとしてみると、悪魔の表情と声色が変わった。


「な、なぁよせって。それはとることはできないって言っただろ。やるだけ無駄だって。」


悪魔は、自分で取れないといったのに、何か焦っているようだった。


「やめてほしい?」


アランは悪魔と目を合わせて質問した。


悪魔は沈黙ながらも額に汗を流しながら顔を笑顔にして首を小刻みに縦に振った。


それを無視して宝玉をとろうと左手を近づけるとまた右手に炎が表れた。


「おい、アラン!取り返しのつかないことになるぞ!」


不思議とその炎は一切熱くなかった、近くにあった草は燃え始めてるというのにだ。


炎が収まると宝玉は右手から離れていた。


悪魔は、宝玉はとれないと言っていたのに宝玉は右手から取り外せたのだ。


「なあ、悪魔よ、よくも嘘をついてくれたな。」


アランは悪魔に話しかけるが、悪魔からの返答はなかった。


「おい、どこにいるんだよ。早く出てこいよ。」


それでも悪魔の姿は見えず、声も聞こえなかった。


記念にと思いとった宝玉はポッケにいれロンの家に帰った。


「なあ、アラン。お前の家のことなんだけど町では悪魔の仕業ではないのかと言われてるらしいぞ。」


ロンは、深刻そうな顔をしながらアランに今自分の知っていることを話した。


ロンは図書館で悪魔が書かれている本を見つけアランに見せた。


「君の家が、炎に燃え、その、家族が燃え尽きたことからこの悪魔じゃないのかと考えているんだ。」


ロンが指に刺したのは、ソロモン72柱の悪魔の一人「豹」の姿をした悪魔フラウロスを指に刺した。


「フラウロスは質問に対して必ず嘘をつけれどもこの本に書かれている逆三角形の魔法陣があれば真実を話すらしい。それにこいつ人間の男にも変身するらしい。もしかしたら、この町のどこかに潜んでいるのかもしれない。」


ロンは、怖がりながらもフラウロスのことについては教えてくれた。


ロンの話に出てきた魔法陣を書き写して、眠る前に宝玉を魔法陣の上に置きお熊に話しかけた。


「おい、悪魔。よくも嘘をついたな。この魔法陣の上にいればお前は嘘をつけないらしいな。」


悪魔に話しかけるけれども悪魔からの反応はなかった。


「なんか言ったらどうなんだよ。」


それでも悪魔からの反応はなく部屋は静かになっている。


キィー


ドアがゆっくり開き人影が見える


「誰だ?」


アランが人影のほうに向かって質問をする。


「こんな時間まで何やってるんだよ?」


人影の正体はロンだった。


「何やってるんだよ。いつまでも起きてないで、早く寝ろよな。」


そう言ってロンは部屋から出ていった。


悪魔からの反応は無く、ひとまずアランはその日は就寝した。


その時森のほうがいつもより騒がしかったが特に気にも留めなかった。

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