46食目、レストラン裁判
「ふむ、こういうことね。あなたは話をする約束をしたので部屋に行ったと………こういう訳ね」
「えぇ、そうなのじゃ。初めての地に心細く話相手が欲しかったのじゃ。カズト━━━勇者殿は悪くないのじゃ」
「……………(そんな約束したっけ?覚えてない)」
どうなるかと思ったが弁明してくれてるようでホッと一安心だ。
これで裁判長レイラが納得すれば、無罪確定になる。
お願いだ、そのまま納得してくれ。カズトは心中で祈り結果を待つしか出来ない。
「ふむ、それなら仕方ないですわね。昨夜、カズトと一緒に寝た件は不問とします」
よしゃぁぁぁぁぁぁ!無罪を勝ち取ったぞぉぉぉぉぉぉ!これで怖い思いをしなくて済む。さてと、これで裁判は解散で通常営業につける。
「それでは次の議題に移ります」
これで終わったと思っていたカズトはドアノブをガチャガチャと回してもドアが開かない。
ミミが魔法を解かない限りここからは出られない。
もし、魔法を解かぬまま外へと出ると、中と外では時間の流れが違い過ぎて体は木っ端微塵になってしまうそうだ。
「おい、ドアが開かないんだけど」
「………ミミが魔法を解かないと開かないわよ。それにまだ終わってないわよ」
他に何かあったけ?昨日、リリーシアと一緒に寝ていた件しか聞いてないしな。それに、いつも俺に従順なミミ(悪戯心でたまにやる事はある)が出ようとした時に魔法を解除しなかったのも気になる。
珍しく俺よりもレイラの命令を聞いてるってことか?
むしろ、この場での目的が一致してるってことか。そうしないと、こんな大掛かりな魔法を発動させないもんな。俺にデメリットしかないし。
「それで議題なんだけど………カズトは旅先で困ってる女を見つけると助けずにはいられない女たらしの件という議題が上がってるわ」
「なぁなぁ、勇者様女たらしって何だ?」
「まだ子供が知らなくても良いことです」
まだ十歳の子供がいる前で何を言いだすんだ!リリーシアも頭にいっぱい疑問符が浮かんでようで首を傾げる。
カズトは勇者の本能と言えば良いだろうか、自覚無しで困ってる者がいると助けずにはいられない宿命だ。
その宿命を引き換えに強力無比なスキルを取得している。
そのスキルとは勇者によって微妙に違う。カズトの場合は〝剣の勇者〟なので剣という全ての武器を100%以上の力を引き出せ扱える。
その扱える剣として最高峰なのが聖剣エクスカリバーと云われている。
先日のワイヴァーンの戦闘で見せた技の数々は、エクスカリバーの
聖剣エクスカリバーの
というものだ。ワイヴァーン戦で見せたのはほんの一部に過ぎない。属性である火、風、土しか扱っておらしんし技も弱いものしか使用しておらん。
因みに属性とは全部で七つ存在しており、それぞれ火、水、風、雷、土、光、闇だ。魔法や
カズトはというと全属性の聖剣を使用可能であり、他にもあるがそれは後ほどの話で語られよう。
取り敢えず、説明はこんなところにして話が脱線してしまったので戻るとしようかの。
『ふむ、今のところはここまでじゃの。全く、カズトは妾に供物を忘れよってからには後でお仕置きが必要じゃな。次までにマシュマロと饅頭を忘れぬにな』
女神シロは完璧な時間停止により、カズトの事を説明してあげた訳だが、何処から何処までがシロが説明したのかは女神のみぞ知るである。そして、この時間停止に気付き者はカズトやミミを含め数人はいたであろう。
女神シロが指をパチンと鳴らすと再び時間が動き出した。時間が動き出した後、もう女神シロは帰った後であった。
「………(あんにゃろう。勝手に降りて来やがって、でもまぁ忘れてた俺に非があるのか。後で何か供物を持って訪ねよう)」
「………(こんな高度な時間停止、ミミ以外に使用出来る者等存在しないはず………一体誰なの?)」
勉は、この世界で唯一女神シロを認識出来る身であって先程の時間停止に多少憤慨するが、原因が自分にあると思い至り許しを乞うため後ほど絶対に手作り料理を持って訪ねようと誓うのである。
ミミはというと時間停止は感知出来たが女神シロを認識出来なかった。
時間停止を使用した犯人が分からないという事で表情には出さないがプライドがズタズタになっている。
パンパン
「カズト聞いてるのですか。何か言い分があるなら聞きます」
「はっ!はい、聞いてます聞いてます」
地球で裁判長が使うような木槌でテーブルを叩き、カズトは正気に戻る。
カズトはチラッとレイラをチラ見するとこちらを睨んでおり、端から見ても怒ってる風に見える。
「言い訳にしかならないけど、どうしても困った人を助けちゃうんだ」
「それは分かってます。私達が聞きたいのは、どうして女性が多いのかです。私達の調べでは八割以上が女性という結果が出てるのですけど………」
そんな事聞かれても勇者の運命しか答えられない。ていうか、何で今更感があるのだけれど………だって、五年間冒険してた最中でも人助けしてたし、それらは俺達全員でやったものだ。そんな風に言われる謂われはないはずだ。
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