19食目、女神とお茶会
「シロ様、聞きたい事があります。何故、俺………私をこの世界に呼んだのでしょうか?」
まぁどんな理由でも女神シロ様なら許してしまうけど、やっぱり本当の理由は知りたい。
『私は他の世界を見る事が出来ます。偶々拝見してた世界でカズトを偶然見つけて………私の暇潰しに呼んだのです(流石に一目惚れとは恥ずかしすぎて言えません)』
そうか、女神シロ様の暇潰しのために呼ばれたのか。まぁ俺で役に立ったのならそれでも良いか。
『下界の者と一緒で魔王は脅威と思ってます。暇潰しで呼びましたが…………魔王を倒すために勇者しても頑張ってくれたら私は嬉しいです』
おぉ~、俄然やる気が出てきた。やってやるぞ、魔王なんて俺が楽々倒してやるよ。実際はカズトが倒す訳ではないが、それはまた別の話だ。
『それでですね、カズトとお茶をするために、神の御殿へとご招待した訳であります』
お茶をするためにワザワザ神の領域である神の御殿に呼ばれた訳か。シロ様ってボッチだから仕方ないか。
『ぼ、ボッチ………ずーーん………いいもん。ボッチで友達いないもん』
あぁぁぁぁ、すみません。シロ様、そういう訳では………でも、拗ねてるシロ様も可愛いいな。
『かわっ………可愛いだと!私が可愛いいとは何のご冗談ですか』
「俺はシロ様の事、可愛いいと思いますけど…………失礼だと感じたならやめます」
『誰もそんな事言ってるおりません。カズトがそう思うのは自由です』
ホッ、怒らなくて良かった。それにシロ様僅かに顔が赤くなってるように見える。
どうせ心を読まれるのだから、これも分かってるのだろう。
『ごほん、長くなりましたが、お茶にしましょうか』
女神シロがパチンと指を鳴らすと何もない空間から白いティーポットとティーカップが出現し、テーブルの上に着陸した。
シロ様がやったのか。魔法は日本でゲームを嗜んだカズトにとって最も憧れが強い現象の一つだ。
『さぁ、どうぞ。これはこの地しか生えない神樹の葉を煎じたお茶です。お気に召されれば、良いのですけど………』
異世界アグドでも一緒か分からないが、カズトがやっていた某ゲームでは神樹や世界樹の葉ってめっちゃ超希少で超高価な代物のはずだ。
それに効果が死亡回復に全回復だったはずだ。まぁ効果についてはゲーム内の話で、実際は違うかもしれないが。
「………!!とても美味しい」
良く良薬は苦しと言うが、この神樹の葉を煎じたお茶は何て証言したら良いのか分からない。適した言葉が見つからない。とにかく美味しいのだ。それは間違いない。
『お気に召されて満足です。ここには余る程あるので、下界での価値は分かりません。もし、欲しいなら帰る際、お持ち帰りしても構いません』
えっ!本当にくれるのか!シロ様、マジ太っ腹です。帰ったら後で試してみよう。
「ありがとうございます。もし、次に来る機会がありましたら何かこのお茶に合うものを持って来ましょう」
『まぁ、楽しみにしてますわね。帰った際に一つ注意事項を………今カズトが神の御殿にいる時は下界の時間は停止しております』
つまり、ここの話を仲間にしても信じてもらえないと、そういうことか。
流石はシロ様というか時間を止めるとは魔法が凄いと言ったら良いのか分からないが、凄いの一言につきる。
『それでは、またのお越しをカズト』
女神シロは最後の最後で微笑み、カズトは白い光に包まれ仲間の元へと戻った。これがカズトと女神シロとの出会いである。
拾いますか?/ 見捨てますか?/嫁にしますか?
カズトは目の前のウィンドウのお陰で女神シロとの出会いを思い出し現実逃避もとい懐かしんでると、頭の中に懐かしい声が響いてきた。うん、忘れようがない女神シロの声だ。
『カズト、お久しぶりです。ずいぶんと私に黙って楽しい事をやってるのですね?』
魔王を倒す前に会ったきり会ってないものだから、ずいぶんと怒ってらっしゃるようで………
『怒っていませんよ?私を蔑ろにして、寂しい思いをさせたからって、こんな事で怒るはずがありませんよ。うふふふふ』
うわぁ、完璧に怒ってらっしゃる。表情は分からないが、声だけで空気が振動するみたいに怒気が伝わってくる。そのせいか体の震えが止まらない。
「シロ様、私からでは連絡出来ないので致し方無いと思いますが………」
『あら、そうだったかしら?テヘっ』
実際は可愛い仕草をしてるだろうが、声だけでは分からずスルーする。最初会った当時は無表情だったのにずいぶんと表情豊かになったもんだ。
『なら、これをプレゼントするわ』
カズトの手元が光り数秒後、光がおさまると左手薬指に指輪が装着されていた。シンプルなシルバーの指輪だ。しかし、異世界アグドでは、意味同じか不明だが地球では、左手薬指に指輪をしてると結婚してるという意味になる。
カズトが抜こうとするが、びくともしない。何やら魔法が掛かってるようだ。
『これで頭で念じるだけで、私と話が出来るわ』
それは助かるが、付ける場所を変えてもらいたい。これを誰かに見られたら勘違いされてしまう。勘違いされたら、シロ様もそれじゃ困るだろう。
『こっちの世界で、そんな風習はないわよ。それに私は困らないわ。楽しそうじゃない』
うぐっ、シロ様がそれで良いなら俺も大丈夫です。一応念のため、どんな代物か指輪を鑑定してみる事にした。
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