満月の夜に【ノベプラ初掲載】

宝希☆/無空★むあき☆なお/みさと★なり

第1話

01

とももは極度の対人恐怖症だった。転勤でたまにUターンする父はおろか、毎日の夜勤パートの母すら「何を考えてる」のかわからずに怖い想いをしていた。「ともも、もう寝たの?またね」という呼び声に嘘寝がバレやしないかと、とても怖い。

🌑02

そんな「これからどうやって生きて行くんだ」というとももは学校すらサボりがちだった。高校受験は将来の自分の衣食住の為に真面目にとりくんだが、滑り止めになんとか引っ掛かる始末で、向学心旺盛だったとももには物足りなく、つまらない授業は、無意味な時間だった。

🌑03

学級委員が写してくれるノートだけでまん中の成績はキープ出来たので、とももは段々引きこもる様になった。何をするでもなくベットに寝転んで、気まぐれに写してくれるノートを見て自習していた。

🌑04

出席日数はテストの点が良かったので、適当にあつかわれた。それでもダメだという真面目な教師には、母と一度だけ行った精神科の診断書の威力を黄門様の印籠の様に振りかざしていた。だから、とももはいつも一人だった。

🌑05

寂しいより怖くない方が良かったとももは学級委員の写してくれたポストに投函されたノートを見て、ありがたいと感謝していた。見やすく速いので、それはパソコンで印字されていた。だから、個性的でなく、とももに人間関係を大切だと想わせる威力が無かった。

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