無理ゲー社会【要約・書評】橘玲

西村洋平

無理ゲー社会【要約・書評】橘玲

どうも。


日本で楽しく生きている人とそうでない人の格差がすごい激しいように思います。


そこで、現代の格差問題について詳しく解説している本を紹介します。


本のタイトル

無理ゲー社会


著 橘玲


小学館新書


あなたはこのように感じたことありませんか?


経済的に苦しくて生きることがつらい…

恋人もいないし、ましてや友達もいなくて孤独を感じている…

本書では資本主義という実力社会においての生きづらさを解説したものになります。


著者は実際に様々な調査などに参加しており、非常に説得力を感じました。


格差問題を知り、どのように生きていけば良いのか大変参考になる一冊です。


それでは、さっそく見ていきましょう。


本の紹介・要約

本書のポイントは、次の3つになります。


自分らしく生きるべきだというリベラルな社会になっている

しかし、自分らしく生きることができない人が一定数存在している

自分らしく生きることができない人にとっては現代は地獄である

現代は以前に比べ、レールに敷かれた人生を歩むというよりも、自分らしく生きることや自由に生きることができる社会構造になりました。


一見このような社会は、自分の努力次第で成功をつかめるという素晴らしい社会のように見えますが、必ずしもそうではないのです。


なぜなら、


遺伝や生活環境である程度の能力が左右されるから

知能格差が社会をより一層分断させる可能性があるから

そこで本書は、上級国民と下級国民の2つに分け、リベラルな社会の負の部分を解き明かす内容となっています。


なおなお

僕のような下級国民にとっては生きづらさに対してすごく共感する部分がありました。

ちなみに本書では上級国民と下級国民を次のように定義しています。(p.280を参照)


上級国民とは?

知識社会・評判社会において、「自分らしく生きる」という特権を享受できる人たち


下級国民とは?

「自分らしく生きるべきだ」という社会から強い圧力を受けながら、そうできない人たち


つまり現代社会において自分らしく生きることができるかどうかということです。


そこで、今回は次の3つについて具体的に紹介したいと思います。


リベラル社会の負の側面について

能力主義は正義なのか?

分断を解決する方法はあるのか?

それでは1つずつ見ていきましょう。


自分らしく生きるという呪縛に苦しめられている人が存在している


リベラル社会の負の側面

リベラル社会とは、


誰もが自分らしく生きられるような社会


という意味でしたね。


しかし、そんなことは可能なのでしょうか?


本書では次のようなデメリットがあると言います。


子どもたちが夢を押し付けられている

孤独な人が増えている

たしかに私たちは子どものときから、


「将来の夢は何ですか?」


このような質問に答え続けてきました。


しかし、ほとんどの人がこのように思ったことがあるでしょう。


なおなお

将来の夢なんてねーよ!

私たちは親や先生から夢を押し付けられて苦しんでいるのです。


なおなお

私も夢がなくて苦しい思いをしたことがありました。成人したいまも将来の夢なんて特にないんですがね…

また、現代社会では孤独な人も増えています。


これにはたくさんの理由があるんですが、誰もが自分らしく生きることを目指したことによって人間関係が複雑化したことも要因の一つです。


なおなお

たしかに個性的な人たちばかりだと合う合わないが激しくなりそうですね。

リベラル化により個性を求められたり、孤独が増えている


能力主義は正義なのか?

一昔前はどれだけ実力があっても、身分制度によって成功できないという縛りがありました。


ですが、いま現在は以前に比べると自分の実力次第で未来を切り開けるようになっています。


大学受験は能力主義の典型例ですね。


しかし、この能力主義は平等なのでしょうか?


もちろん能力主義にもデメリットは存在します。


遺伝や家庭環境の要素が強い

成功できない責任はすべて自分が負うことになる

能力があっても成功できない場合もある

そもそも遺伝や家庭の環境によって実力が左右されます。


もちろん劣悪な環境でも成功している人は存在します。


しかし、統計的にはやはり良い環境に恵まれている人ほど成功しやすいという事実があるのです。


さらに身分社会では成功できないことを自分の身分のせいにできますが、能力主義だと解釈が少し変わってきます。


自分が成功できなかったのは自分が怠惰だったからだ


このように失敗はすべて自分の責任になってしまいます。


さらに能力があっても市場のニーズに合わなければビジネスとして成功できないというケースもあるでしょう。


なので、一概に能力主義が正しいとは言い切れませんね。


能力主義にもデメリットはたくさんある


分断社会は修正できるのか?

本書では自分らしく生きることができる上級国民とそうでない下級国民の分断が起こっていると述べられています。


この格差は是正できるのでしょうか。


本書では、ベーシックインカムやMMT(現代貨幣理論)、富裕層に課税する富裕税などたくさんの方法を考察していましたがどれも一長一短です。


なおなお

まあ、完璧な政策があれば私たちは困ることはないんですけどね…

ただ、今後お金が平等に分配されたとしても、個性や評判を平等にすることはできません。


そうなると私たちは生き物ですから恋愛市場などの人間性などが問われる分野での競争はなくならず、何らかの格差は残り続けるでしょう。


では、私たち一人ひとりはどのような戦略で生きていけば良いのかということになりますが本書では残念ながら解説されていません。


個人的にはあともう一押しほしかったのですが、現代の分断社会をすごく丁寧に解説されているのですごく勉強になりました。


分断を解消するにはまだまだ時間がかかりそう


まとめ リベラル社会の残酷な構造がわかります

いかがだったでしょうか。


本書を読むと、才能がある人にとっては最高の世の中ですが、そうでない人にとってはかなり厳しい社会だということがわかりました。


まさに無理ゲーな社会ですね。


本書はリベラルな社会の構造について詳しく学ぶきっかけになったのですごく良い本でした。


本書の詳しい内容が気になる方はぜひ一度本書を手に取ってみてください。


ということで今回は以上になります。


それでは、また!


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