第15話 カルベリィの末姫
「私、いつもは
恐らく、貴女の足に合わせてあげているのですよと
「今度は一緒に馬で遠出しましょうね。大丈夫よ、賢い馬だからノリコでも乗れるわ」
これも私の返事を待たないし、
「フランソワこんにちは」
「今日も素敵ねフランソワ」
村のカフェへ行くと、フランソワの元に若者達が集まってくる。レコードの音楽が掛かっていて驚いた。この世界にもレコードプレイヤーは在るらしい。
カフェには結構な数の若者が
カルベリィでは、畑や酒造の都合で学校の休みが決まっているのだと云う。
今は、その休暇の期間らしい。家の仕事を手伝うための休みの筈だが、その割に若者たちは暇そうにしていた。
若者達の態度からは、フランソワの機嫌を
「フランソワ、その服は街から取り寄せたの?」
友達の女の子がすかさず服装を
確かにフランソワの衣服は周囲より目立っていた。同じクラウス家のお姉さん方とも
乗馬服に似た格好だった。ウエストが高く、フランソワのスタイルを引き立てていた。
男性的な格好が好きなのか、
フランソワは
「それより皆、ノリコの服を見て。私が
学友たちは、それでようやく私に気づいた様子だった。皆がすかさず褒めはじめる。もちろん私ではなくフランソワの仕事を
「素敵、都会の人みたい」
「センスが良いわ」
フランソワはそれも当然と受け流してから、取り巻きのうち、赤毛の女の子へ狙いを定めた。
「貴女も良いブローチをしているわね」
相手は戸惑った様子を見せた。怖がっている様ですらあった。
「あ、ええ、ありがとう……」
「それ素敵ね」
「ええ……私も気に入っていて――」
「とても素敵。ねえ皆」
フランソワは繰り返した。相手は
「……好かったら、これフランソワに差し上げたいわ」
「あら、良いの?」
フランソワは
「やっぱり! ノリコに良く似合うと思ったのよ。そうでしょう皆。良いと思わない?」
皆はまた褒め始めたが、
「良かったわねノリコ」
もちろん私は抵抗した。
「こんなの貰えない」
「私が差し上げると云っているのよ。ねえ、構わないわよね?」
赤毛の子はゆっくり頷いた。笑みを作ろうと苦労しているのは明らかだった。
けれど、フランソワはそんな事を気にする令嬢ではない。にっこり笑って機嫌を良くした。
「さあ皆、行きましょう。今日はノリコに村を案内してあげるのだから。私って親切でしょう?」
みんな頷いた。何人かは赤毛の子に
この場で
もう帰りたかったが、フランソワの親切はまだまだ続く。
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