第92話

「えっ?

 精霊因子を封印したから、魔那も封印されたのでは?」

そうだよね?


「なにを言っておるのやら。

 集まった魔那が、容易く散るはずもあるまい」


んっ?

精霊因子は魔那が集まったのには関係ないと言うことなのか?


「それだけの膨大な魔那を身に宿し、若返っておるのだ。

 精霊因子とやらが封印されても影響はあるまい。


 まぁ、魔那が集まる要因が精霊因子ならば、これまでのように魔那が増えることもないであろうがな」


そう説明を受け、魔那が増えないことに、ホッとな。

魔那が増えすぎて、破裂するイメージがあったから、正直怖かったんだわ。


って、ちょっと待てよ?

「サマンサさん」

「なにかしら?」

「エルフの幼少期が長いのは、膨大な魔那に耐えられる体を作るためでしたよね?」

そうだよね。


「ええ、そうよ。

 それが、どうかしたのかしら?」

小首を傾げてな。


「そうだとしたら…

 短期間に膨大な魔那を得た俺って…ヤバくないですか?」

いきなり破裂せんよなっ!


「それは大丈夫よっ!

 定期的に、ダリル君に異常がないか、診断してたからね。


 すごく魔那適応力が高いようね。

 普通の人族だったら危ない魔那量を超えても、なんともなかったわよ」ってなことを。


っか、普通だったら、ヤバかったんじゃぁねぇかぁっ!


「ふむ。

 精霊様より説明があった種族であるディサピィル種の特性か…

 それともディサピィルトーカーの特性なのか?」


ロンダルトさんが推測を口にすると、サマンサさんがな。


「おそらくは、ディサピィル種の特性ね」って断言を。


「それは何故かね?」

断言されたため、不思議そうに確認をしてるな。


「魔那誘引の原因が精霊因子だったなら、それは種族特性ね。

 そして魔那誘引を引き起こす種族なら、魔那適応力も高いはずよ。

 そう考えたら、種族特性ってなるじゃないの」


ああ、そう説明されたら、確かに。

まぁ現状、危険はなさそうだ。


しかし…色々と起こる日だなぁ。

鎧は明日の夜中に使えるようになるだろう。

だとしたら、マユガカ討伐を再開するのは、明後日の朝だな。


それまでには、忍術を…って無理か。

まぁ、努力だけはしてみるかね。


精霊暴走騒ぎは終わったが、ロンダルトさんは里の集会へと戻るらしい。


それとな、里長を裁く話はなくなったそうな。

いや、憐れすぎて裁けないらしい。


んじぁ、そら?

意味が分からなくて尋ねたらな。


「里長たちが干からびてな」っと。


干からびた?

ますます訳が分からんのですが?


詳しく訊くとな、怒った精霊たちが里長たち罪人の魔那を吸いとったらしい。


現場に居た者の話では…

『悪い子には、チューチューするのっ!』ってな。


いや、チューチューって…


罪人以外の者たちは、魔那遮断が解けたらしいが、精霊魔術は使えないとのこと。


まぁ、流石に害するのはダメと覚ったようだ。

一方の罪人は、ミイラ状態へと。

息はしているし、脈もあるが、干からびて身動き1つできないのだとか。


それで死なないってのは、キツいぞ。


意思の疎通ができないので、意識があるかは不明らしい。

そんな罰は受けたくないなぁ~


里長一族の子供たちには、トラウマものだが、反面教師的教材としては良いらしい。


いやいや、自分の祖父母や両親、または伯父伯母がミイラだぞ。

刺激が強すぎね?


「まぁ、これらは里の話だ。

 ダリルは、忍術修得に精を出すがよい」って、行ってしまったよ。


まぁ里人でない俺が首を突っ込む話でもないからなぁ~


さて、仕訳へ戻りますかね。

でぇ、真夜中の丑三つ時。

ようやく仕訳が終わりました。


同じような術が混在していて、それが余計に手間でな。

さらに関連性のある術とか、止めて貰えませんかねぇ。


修得が前提となる術があり、それを修めてないと修得できないって…


しかも、他系統の術が絡んできたりだね。

非常に面倒くさかったです!

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