第65話

これからの予定というか、この集落でやることが、まったく分からない。

まぁ、着いて直ぐにロンダルトに捕まったかんなぁ。


俺だけ別行動になりそうだったのに、誰も取り成してくれなかったし、後から迎えに来るどころか連絡もない。


集落でマユガカの卵を採取した後、収納する鞄が貸し出されるってたんだが、何処で借りれば良いんだろ?


あっ、そうか!

「ロンダルトさん」

「んっ?

 なんだい?」


「ここで、マユガカの卵を収納する鞄が貸し出されるって聞いてるんですけど、どこで貸し出されるのか知ってます?」って、訊いたらな。


「あれは特殊な法具だから里長が管理していたはずだな。

 だが、里長は呪いで意識がなかったと聞いてるぞ。

 だから借りれるかは分からんな。


 よし!私が里長の所まで案内しよう。

 私と行けば無下にはされまい」


そうロンダルトが提案してくれたので乗ることに。


ロンダルトさんの案内にて集落を移動する。

外から来た俺が珍しいのか、皆が注目するんたが?


「ミーシャ、そのよそ者って危なくねぇーの?」って、駆け寄って来た男の子が声を掛けてきた。


「ダリルは良い人だよ。

 パパに連れ回されても怒らず相手してあげてるもん」

そうミーシャちゃんが告げるとな。


「えっ!本当にぃ!」って、男の子が驚き…

ヒソヒソヒソって、周りの反応が…


ロンダルトさん?


「本当だよ。

 だって、パパの鎧自慢に精霊生産自慢、お風呂自慢にさえ絶えきっちゃんだもん!」


ザワ、ザワワワッ!って辺りが、ざわめく。

具体的な内容としては…


「信じられん!

 儂なんぞ、数分で意識がとんだもんじゃ。

 それを耐えきるとはっ!」

「じいさん、無茶しやがって…」

とか。


「俺、我慢できず喧嘩になってさ、サマンサさんに一緒くたに吹き飛ばされたよ」

「おまえも?

 アレって、正座説教がセットだろ?」

「おぅよ、正座説教後に子供達が集まって来て、足を弄られるとこまでがセットだな」

「だなぁ」

などだな。


ロンダルトさん、正座説教の常習犯ですか。

通りで素早く正座するわ、痺れからの復帰も早いわと、場馴れ感がな。


はっHAはっHAはっHAはぁHA

 どうも私を噂しているみたいだね。

 人気者はツラいよ」って、再び笑うロンダルトさん。


幸せな人だなぁ。


戦慄したような顔で、俺を見る子供達。

そこまで?ねぇ、そこまでなの?


「ところで、ミーシャ」

「なによ?」

「なんで、そいつに肩車して貰ってんだ?」


そうなんだよなぁ~

出掛けにミーシャが、一緒に行くって、くっ付く着たんだけどさ。

途中で肩車って言い始めてな、ロンダルトさんと揉めたりとかね。


完全にドタコンのロンダルトさんが、他人、それも男が娘を肩車。

そらな。


っか、絵図的にヤバいから断ったんだが、断ったら断ったでロンダルトさんが絡んでくるし…


面倒臭い。

結局は、俺が押し負けて肩車しとります。


ちなみに、ロンダルトさんにして貰ったらって言ったらさ。


「パパ、動きがガサツだからヤっ!」って言われてた。

いや、落ち込まれても…


まぁ、いちいち動作がデカイっうか、無駄なリアクションが多いんだよね、この人。


多分だが、肩車していても変わらないんだろう。

肩車されとる方は、堪らんわな、それ。

拒否るのも分かる気がするわ。


そんな道中にて、子供達が肩車の順番で言い争ってますが、誰か止めてくれません?

もしかして、全員肩車するのは決定なんでしょうか?


ミーシャちゃんが、ニシシッって笑ってるけど…もしかして、確信犯?


だけど里長の家前へ着くと、流石に子供達も散って行ったよ。

ミーシャちゃんにも降りて貰う。


流石に始めて訪ねるお宅へ、子供を肩車した侭にて訪問する勇気はございません。


「私なら、どうどうと行えるが?」

いや、あなたなら、そうでしょうけどねっ!


ロンダルトさんの家っうか、屋敷もデカかったが、この邸宅もデカいなっ!


領館クラスを超えてんじゃね?


建てるには結構な期間が掛かる筈だが、フォリゾン・エルフ達がこの地へ移住して、さほど経ってないはずだ。


精霊魔術の恩恵なのだろうが、すげぇな、精霊魔術!

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