第49話

晴れて夫婦となった俺達を教皇様が教会へといざなう。

断る謂われもないため、教会へと足を向ける。


教会の迎賓の間へと案内され、勧められる侭にソファへと。


俺達と共に来たガリアン様は、憮然としてんな。

まぁ、己が認めてない男が、勝手に娘婿になればなぁ。


いや、拳では語らんよ。

ミンチになるからな、死にたくありませんので…


そして、皆が迎賓の間にて落ち着いた所で、教皇様がな。


「サイガ…いや、ダリルが正しいか…

 そなた、様々な遺跡にて、神意物を解放しておるな?」


あっちゃあっ…それっ、本名ほんみょうっ!

告げちゃダメぇっ!


「えっ?

 サイガって…芸名を持ってたの?

 芸人さんもしてたんだぁ~」


このぉ、天然て・ん・ね・んさん!


教皇様が、呆れて見てんじゃんか。


「こほん。

 そのですね、神意物って…なんでしょう?

 心当りがないのですが?」


本名?触れんよ、そんなもん。


「ふむ、知らずに解放しておったのかぇ。

 それが加護が多かった原因であるかや。

 なるほどのぅ」


「あのぉ~誰かと、話されてます?」


相手がいないとしたら口調が変なんですが…


「うむ。

 精霊と話しておるな。

 そなたの守護霊も語ってくれておるぞぇ。

 後は神託じゃな。


 おお、そうそう。

 守護の者がの、若いっと言っても、程々にと言っておるな。

 しかし…盛んなことじゃて」


お~いっ!俺の守護霊っ!

なに言ってくれとんやぁぁっ!


ガリアン様が渋い顔に。

先王様がな。

「こりゃぁ、曾孫が見れる日も近いやもな」って、ご機嫌に。


ユリアーナ様は…

「あらあらあら、まぁまぁまぁ」って、にこやかです。


んだぁ、このカオス。


「しかし…ダリルよ。

 そなた、加護を得られて良かったのぅ」って、何気に本名をな。


「いや、私はサイガですので」

「んっ?ダリルで良かろう」

「だから、サイガなんですって」


シツコイなぁ、もぅ!


「いやいや、ダリルじゃ。

 神意である、観念せい」って、そんなことをな。


って、マジでぇっ!


「うむ、マジじゃ!」

……… ……… ………

「今、声に出してました?」

「守護霊が告げておったぞ」


おいっ、守護霊ぃぃっ!


「心配せずとも15年前のことじゃ。

 当時10歳のお主を咎める者はおらぬ。

 居ったとしてもじゃ、神が赦したもうた者を咎めるは、神敵じゃでな。

 気にせずとも良いぞぇ」って、そんなことをな。


そこからは、俺の過去が暴露される訳で…なんの罰ゲームなんだ、これ?


「まさか…おぬしが、シャドウとはのぅ。

 当時、10歳じゃと?

 儂らは、10歳の子供に振り回されておったのか?」

先王様、唖然。


俺もな、教皇様の話を聞いて慄然と。


斥候喰らいの穴。


実は、加護が無ければ、生きて出られなかったらしい。


まず、間違いなく指輪に殺されるのだとか。

それで死ななくとも、最後にゴライゾンが殺すらしい。


加護に守られた、そう言うことらしいわ。


道理で生きて出られた者が居ない筈だ。

魔法文明期ならば、ゴライゾンが殺すことは無かったらしい。

らしいっと言うのは、ゴライゾンの所まで辿り着いたのが、俺だけだったからだとさ。


魔法文明が滅んだ後、斥候を送り出すのは無意味と考えたゴライゾンが、全員殺すと決めていたらしい。


まぁ加護に邪魔され断念したらしいのだが…


しかし…生きるために駆けずり回ったことが、後の運命を変えることになるとはな。

人生とは、皮肉なものだな。


教皇様が、俺達を教会内へと誘った理由なんだが…

実は教会内だと霊的存在と接触し易くなるらしい。


つまり、御神託を受けたり、精霊と話したりが行いやすくなると言うわけだ。


まぁ、俺の守護霊が協力的だったのは、計算外らしいんだが…


「実にフレンドリーな守護霊であるな。

 今度、精霊様を交えてのガールズトークを楽しむのであるや」


っか、守護霊、女性かよっ!

っていうか…


「人の守護霊と、ガールズトークすなぁっ!」って、思わずな。


あっ!

相手…教皇様だった…拙いっ!


ってなことを思ったんだが…

教皇様が、ジィィィンって感じでな。


「これがダリルの突っ込みであるかやっ!?」って、感動してた。


もーいやっ!

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