家出

@Moeko116

エピローグ 

星の降る夜だった。


明るすぎる夏の夜空と

夜の闇に溶け出した海。


僕たちはちょうど

その真ん中に立っていた。


宙ぶらりんな会話は

頼りなく浮かんでは消えた。


星を捕まえようと手を伸ばす。

握った手のひらは空気を掴んで

あたりが少し軽くなった気がした。



「もう家(ウチ)に帰りなよ」



夜のしじまに

やけに自分の声が大きく響く。


隣で小さく息を吸うのが聞こえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る