俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き

雨が降っていた。

激しく地面を叩いて降っていた。


「強いな」


つぶやいてみても、目の前の半透明の線は消えない。


「雨だな」


ザーザーとありきたりな擬音でしか表現できないように雨が降っている。


その事実で心が少し重くなる。

気候なんて関係ないのだけど、少しだけ感情は動いた。


「傘持ってない」


家に帰らないと行けないのに。

雨具なんて持っていなかった。


「まぁいいか」


ここで雨が止むまで待っているわけにいかなく、外へと飛び出してみる。


「冷たい」


肌の上で弾かれている雨粒は冷気を孕んでいた。


「やまないのかな」


ポツリとつぶやいた言葉は、雨音にかき消されて消えていった。


この雨は、いつか止むのだと北の空が告げていた。

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