洋一は優等生?

 洋一(高3)は、学力だけでいえば学年トップだった。

 国語・数学・英語・化学・日本史・世界史など、主要な科目はことごとく90点以上を取ってきた。

 制服も決して乱れず、詰襟はてっぺんのホックまでしっかりかけている。


 彼の通う学校は生徒が悪さをしないように、過剰なまでに監視カメラが設けられていた。

 監視カメラで悪行を記録された生徒は、そのたびに内申点のダウンが決まってしまう。

 しかし洋一はいじめや酒・タバコ、学業に不要なものの持ち込みなど、そこらの不良がやりそうなことは到底やらなかった。


 それでも彼は進路指導のとき、先生からもらった通知表を見て驚くことになる。

「どうしてこんなに内申点が低いんですか?」

 洋一はやや焦った様子で、担任の杉浦道雄先生に尋ねた。

「君の日ごろの行いが悪いからだ」


「どういうことですか?」

「これが目に入らないのか」

 杉浦先生はスマートフォンを取り出すと、動画モードで洋一に見せてきた。


 そこには洋一が女子の背後をうかがい、両手で豪快にスカートをはじき上げている。

 こんな場面がいくつも続く。

 さまざまな場所で、さまざまな女子のスカートが、洋一のエジキになっていた。


 しかしそれは洋一に一時の快楽を与える代わりに、内申点の大部分が犠牲になっていたのだ。

 この結果洋一は、三流大学の推薦しかもらえない状況になっていた。


 それでも彼は地頭に優れていたので、第一志望の名門大学の入試には受かれた。


 大学の入学式当日、彼はキャンパスに入ると、手始めとばかりにスーツ姿の女子のスカートを片手ではじき上げた。

 女子は当然のように舞い上がるスカートの後ろを押さえ、洋一の後ろ姿をにらむ。

 それからどれだけのスカートが、洋一の犠牲になるだろうか。

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