第6話 最初の名前
自分の名前を自覚する、ということはどういうことなのだろう。名付けとは本来自分ではない他からの分類のはずだ。
自分の名前を自覚するには、そもそも自分が名前のある存在であることが必要である。他から付けられるものではない。
アザトース。それが始まりの、最初の個の名前だった。意識の塊、質量の塊、エネルギーの塊としての個。その最初で最大のものの名前だった。
アザトースは自らをアザトースとして認識した。
「我が名はアザトース。原初にして万物の王である。誰か我を認識できるものはおらぬのか。」
アザトースは意識を周辺に拡散してみた。宇宙全土を覆う拡散だ。光の速度を遥かに超える速度での拡散だった。いくつか反応があったが、まだアザトースを認識できる存在ではなかった。
アザトースという名前そのものには、何らの意味はなかった。ただ、アザトースという存在であっただけだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます