おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略
神崎あら
第1話 おっさんと三級ダンジョン
ダンジョンとは、探検家や冒険者など様々な人達が出入りする場所である。
俺も一応冒険者。
別に何か大きなことを成し遂げたわけでもなけいただの冒険者。
年齢は今年で42でしっかりとおっさんだ。
パーティメンバーは10年ほど前に解散したからほぼソロ。
時々どこかのパーティに混ざって大きな仕事のお手伝いをすることはあれど、関係はその程度で長続きしないし、する気もない。
誰かと組まないのは一人が気楽だからだろう。
一人が気楽になったのはおそらく俺がこの業界で長く飯を食ってきたからだと思う。
若い頃は手柄や報酬目当てに身の丈に合わないクエストやるから一人じゃきついって事で、意見の合う奴らと組んでたけど、長くやると生きる為に何をすべきかがわかってきて、一人でやる方が楽になってきたんだよなぁ。
「お、見えてきたな」
そんなことを思って歩いてたら目的地の三級ダンジョンが見えてきた。
この世界のダンジョンには階級がある。
1番上が特異ダンジョンで、そこから下が一級、二級、三級ダンジョンとなっている。
今回行くのは難易度イージーの三級ダンジョン。
三級ダンジョンは基本的に初心者冒険者や探検家向けの場所であり、クエスト報酬も良くはない。
ただ強いモンスターがいないため、ダンジョンの中を隈なく探索する事が可能であり、とある特定のモンスターの皮やレアな鉱石などは売ればそれなりのお金になる。
三級ダンジョンなんて武器を持っていれば正直誰でも無傷で出られるくらい簡単だから、皆んなこんなところ早く終わらせてすぐ帰ってしまう。
故にこんな三級ダンジョンなんかに足繁く通ってるのは俺くらいだろう。
ダンジョンの入り口に着いた。
相変わらずここのダンジョンは人気がないな、普通ダンジョン前は数多くの冒険者や観光客、そして出店などが並んでて賑わってるのにここには何もない。
「まぁ逆にそれがいいんだけどな」
ダンジョンの入り口にはボードがあり入る前にそこに名前と入った年月を書く決まりとなっている。
理由としては万が一行方不明になった際に探しやすいためである。
「さてと、前回俺が来たのが半年前だから……」
こんなダンジョンに来るのは俺くらい、故に今回もこのボードの直近の入室者欄には俺の名前があるはずた。
「え?マジかよ」
なんと入室者欄に俺以外の名があった、これは珍しい。
約3年ぶりの珍事である。
「えっと、名前は……ユイカ・アレイスター」
もちろん誰かわからない。
こんなダンジョンに来るのは初心者冒険者の中でもかなりの変わり者だろう。
街から遠いしクエスト報酬だって安い、自分で来といてあれだがまるで旨みがない。
まぁ報酬目当てじゃない俺にとっては別の旨みしかないが……。
「日付は3日前か」
3日前とは最近だな、まぁこのダンジョンは遅くとも半日あれば入って最深部までいって帰って来れるからもういないだろうけど。
「よし行くか」
そして俺はボードに名前と今日の日付を書き、迷いのダンジョンと書かれた古びた入り口の門をくぐりダンジョン内部へと入った。
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