勇者のお仕事 アプリゲーム編
nikata
さいしょ
召喚の間にて、優しく
魔力を伴った聖水に変換された泉の水は、女神が触れていないにも関わらず、水面に小さな
波は少しずつ、だが確実に大きなものへと変わり、やがて重力に逆らう奔流となり、勢い良く女神の手元へと引き寄せられた。そうして引き寄せられた水の色が無色透明なものから青色へと変わる。それを確認したエアリースが祝福するように、勢いよく両手を広げた。
この世界に、また新たな、女神の祝福を受けた戦士たちが、召喚された。
☆1 名もなき戦士
☆1 名もなき戦士
☆1 名もなき
☆2 遊び人
☆1 名もなき戦士
☆2 ドワーフ
☆3 魔法使い
☆1 名もなき戦士
☆2 ドワーフ
☆1 名もなき戦士
召喚された十人のヒーローを目の前にした勇者と魔王が、信じられないといった表情を浮かべた。
「これガチャの
そういったのは勇者だ。声に張りが無く、絶望に打ちひしがれているのが
「……十連引くのにどんだけクエストこなしたと思ってるんだよ」
日頃温厚な勇者にしては珍しく
「ま、まあまあ勇者さん。少し落ち着きましょうよ」
眼鏡を掛けた魔王が勇者を
「いや。魔王さん。流石にこれは冷静じゃ居られないですよ? こんなの普通なら
「賢者さんはそんなに短気じゃないですよ。それに、これに関しては彼らが悪いわけじゃないですし」
仲間を
「大体、女神さんの魔力の注入が弱すぎだと思います」
「え!? 私ですか!?」
それまで泉の前で
「だってそうじゃないですか。本来レアキャラ出る時って泉の色が赤とか金に変わるんですよね? でもここのところずっと青色のままじゃないですか。明らかに手抜いてますよね?」
「私は別に手は抜いていませんよ。これはあくまでも確率の問題で――」
「確率の問題っていえば許されるみたいな
そう言って勇者が魔王を見る。心の中で女神エアリースに謝りながら、最高ランクの☆5である魔王は流れ弾に
「だからそんなこと私に言われても困ります! そもそも最高レアの排出率なんて2%しかないんですから、次に引いた時に二体目が出たら表記されている確率にほとんど
女神エアリースも勇者に応戦する。その怒れる姿はとても女神には見えない。しかし今日の勇者はいつもと違う。
「はい、出た収束。収束出たよ。得意技。はい収束いただきましたー。……ていうか収束って言っておけば収束するみたいな風潮も止めません? だいたい収束収束って言いますけど本当に収束するんですかねー? カジノにあるスロットとかだって打ち続ければいつかは収束するって言われますけど全然そんなことないじゃないですか。結局キャラガチャもカジノも
勇者はそう言って今しがた召喚されたばかりの☆2遊び人に問いかける。やさぐれた勇者に急に振られて☆2遊び人が緊張気味に答える。
「ど、どうですかねー。カジノにあるスロットなら僕が☆5になって『運』のステータスがマックスになったら百回中九八回は勝てると思いますけど」
「チッ」
同調を得られなかったのが不服だったのか、勇者が舌打ちした。そのあとで再び遊び人に向かって訊ねる。
「じゃあ今の☆2の状態だったら勝率はどれくらいなんスか?」
その質問に少し☆2遊び人が考えたのち、口を開く。
「そ、そうですねー。百回やったら九十回は負けますかねー」
「遊び人さん」
「はい?」
「就職したほうが良いんじゃないっスか?」
「……」
意味もなく、言葉の刃に☆2遊び人が切り捨てられる。今日の勇者は切れ味が半端なかった。勇者の
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