第19話 『白銀の女王-クイーン-誕生』
——イベント終了まで残り1時間。
ここからはひたすら出し惜しみなく、スキルを使用していく。
周りから見れば初心者装備のか弱い女子が、頭にたまたま王冠マークを付けているようにしか見えないらしい。
そのため狙いの的にされるには充分すぎるため、たくさんのプレイヤーが群がってきた。
……もちろん全て返り討ちだけどね!
この時にはかなり対人戦にも手慣れてきていた。
《パラライズ・ショック》で範囲内に集まってきたプレイヤーを、全て麻痺させて《ルミナ・スラッシュⅡ》で綺麗に狩り取る。
集中的に狙われる場面では、もちろん《
《
キッカケを作ってくれたリコピンさんに感謝しなきゃ……。
——こうしてあっという間に計6時間が経過し、イベント終了の合図がなされた。
***
「はいはーい! 皆様お疲れ様でぇぇぇぇす!」
グイデさんはイベント開始時と、変わらないテンションで話しかけてくる。
イベント終了後は、全員が準備会場に戻されることになったが、始まる前とは違いより和やかな雰囲気になっていた。
「それでは結果発表をしますね。まず11位以上の方は、ご自身の目の前に順位が張り出されます」
グイデさんがそう話すも、私の元には数字が表示されない。
イベント終了の時まで王冠のマークは付いてたから、10位以内には入れてるはずっ……。
周囲からは
『うわ、俺7820位かよ』
『俺なんて10527位だぜ……』
『私980位だぁ』
『すげぇ! 3桁じゃん』
といった話し声が聞こえて来ていた。
「それでは10位から4位までを、まず発表します! 私の上に浮かんでいる巨大なスクリーンに名前が映し出されますよ」
グイデさんがそう話すと、大きなスクリーンが現れて順番に文字が浮かび上がって来た。
うー……。
お願いします。お願いします!
まだ出て来ませんように……。
———————————————————————
【第1回イベント結果発表】
[順位][名前][獲得ポイント]
第10位:ババネロ【255P】
第9位:にゃん太郎【381P】
第8位:リサリサ【522P】
第7位:リコピン【666P】
第6位:味付け卵【678P】
第5位:†ガブリエル†【790P】
第4位:ウルトラ田中【922P】———————————————————————
あっ!
リサリサ8位に入ってる!
……でもあれ?
表示されてるポイントって何か少なくない?
私が不思議思っていると、後ろにいた名前も知らないプレイヤーの話す声が耳に入って来た。
「おいおい、なんか全員数字おかしくねぇか」
だよねだよねっ?!
「確かに……普通にポイント獲得しすぎじゃね?」
「だよな! おかしいよな!」
「同感。みんな上位陣ポイント取りすぎだな」
「ってかリコピンさんちょっと順位低いな。……まさか誰かに倒されたのかな?」
「……いや、まさかな?」
あれれ……ポイント取りすぎ?
少なすぎておかしいじゃなくて……?
私が最後に確認した自分のポイントは【8,368】だったので、ものすごく少なく思えてしまう。
ちょっと待って……それより。
私の順位!!
3位以内入賞確定だっ!
この時点で3位以内が確定したことに気付き、内心大はしゃぎしてしまっていた。
「続いて3位の発表にいきますよ!」
「「「おおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
グイデさんの発表の声かけに、周りのみんなが盛り上がる。
「第3位は『レイラハート』さん! 獲得ポイントは………【3,825】です!!」
「「「はぁぁぁぁぁ???!!!」」」
「獲得しすぎ。さすがはレイラハートさん」
「確かレイラさんって【
口々にレイラさんの情報を話し合う声が飛び交い、私の耳にも入ってくる。
ほぇー。
レイラハートさんって有名な人なんだ。
【
そんな職業聞いたことないけど……。
4位との差があまりにも大きすぎて、とびきりの拍手で祝われていた。
人が集まりすぎていて、当の本人がどこにいるかは分からないんだけどね……。
「続きまして、第2位を発表しますよ!!」
「「「きたきた2位はだれだぁぁぁぁ!!」」」
はいはーいっ!
私ですー!
まだ呼ばれてもないのに、心の中で元気良く返事をしておく。
「第2位は……『ナイトロード』さん。ポイントは【9,970】ポイントです!」
「………え?」
「ポイントやばすぎぃ……。でもナイトロード様が2位?!」
「は? じゃあ誰が1位なんだ?!」
周りのプレイヤーからは、明らかに動揺が走っていた。
当然これは私も同じだった。
あれ……?
お兄ちゃんが2位……。
私の頭……王冠付いてたよね?
見間違いじゃないよね?!
お兄ちゃんに勝てるとは考えもしていなかったので、この時点で失格等になってしまったのではないかと不安になってしまった。
「最後に栄光ある第1位の発表です!」
「「「誰なんだァァァァァァ?!」」」
お願いします!
ランク外だけは……。
失格だけは嫌です……。
お兄ちゃんとのデートが……!
両手を胸のあたりで組んで、お祈りをするように目を閉じた。
「第1位は『ルミナ』さん! 獲得ポイントは、なんと【24,880】ポイントです!!」
や、やったぁーー!
私が……本当に私が1位?!
私が心の中で大喜びする中、周囲は一瞬の沈黙。
そして、今日1番の拍手喝采が飛び交った。
「「「ハァァァァァァ??!!」」」
「すごすぎ!! ルミナちゃんやばすぎでしょ」
「もしかして、あの初心者装備の女の子?!」
「あの子強かったよな……。俺22回もやられたぜ」
「はぁ? 少なっ。俺なんか73回はやられたもんね!」
何故か私に倒された回数自慢が始まってしまった。
「それでは最後に優勝者のルミナさんより、一言いただきましょうか!」
グイデさんがそう話すと、巨大なスクリーンに私の顔がリアルタイムで映し出された。
「え、えぇ……」
ど、どうしよう。
何を話すか考えてなかったよ?!
困り果てていた私に向けて、グイデさんが救いの手を差し伸べてくれる。
「そうですね。今日の勝利を誰に伝えたいですか?」
「お、おおお兄ちゃんに伝えたいですっ!」
グイデさんの質問に対し即答。
ただ、大勢の前でお兄ちゃん大好きと言ってしまっているものだと後から気付き、真っ赤に染まった頬のままスクリーンに映ってしまった。
「あ……ルミナちゃん可愛いな」
「俺、ファンになろっかな」
「胸大きいのに、身体のラインもしっかりしてるし」
「顔も可愛いよな。美少女って感じで」
周りでそんな噂をされているとは、知りもせず、どこかでスクリーンを見てくれているであろうお兄ちゃんへ向けて『お兄ちゃんやったよーっ!』っと、無邪気に右手を振り続けていたのであった。
———————————————————————
【USO第1回イベント専用掲示板(総合)】
875:名無しの剣士
『みんなお疲れ様!』
876:名無しの筋肉
『お疲れ様でした〜』
877:名無しの斧使い
『お疲れ様でっす〜』
878:名無しの剣士
『いやぁ……まさかの結果だな』
879:名無しの筋肉
『まさかナイトロード様が敗れるなんて』
880:名無しの占い師
『ちょっとした小ネタ持ってきた』
881:名無しの剣士
『お? どんなだ?』
882:名無しの斧使い
『気になる!』
883:名無しの占い師
『今回のノーデスだったのは、全プレイヤー中1人。ルミナちゃんだけ!』
884:名無しの筋肉
『ナイトロード様もレイラハートさんも倒されてたんですか?』
885:名無しの占い師
『レイラさんは割と序盤にナイトロード様に倒されたっぽい。そのナイトロード様も天空エリアのシークレットボスにやられてたらしい』
886:名無しの剣士
『ヤバいなボス。そう言えば、魔法最強のリコピンも順位低かったな』
887:名無しの斧使い
『まさかそれも……ナイトロード様?』
888:名無しの占い師
『いや、それはルミナちゃんが倒してる。ちなみにシークレットボスもルミナちゃんが倒したっぽい』
889:名無しの剣士
『まじか! あのとんでも魔法少女様に加えてシークレットボスまで倒すとか、やばいな』
890:名無しの斧使い
『怪物。でも可愛い。でもおっぱいおっきい』
891:名無しの筋肉
『俺たちのオアシスですね』
892:名無しの剣士
『ポイントもおかしいし、これは新女王の誕生って認識だよな』
893:名無しの筋肉
『ですね。【白銀の
894:名無しの占い師
『いいね。【白銀の
895:名無しの斧使い
『今後もルミナちゃんを見守っていこうぜ』
896:名無しの占い師
『俺は持ってるスキルとか考察してみるわ』
897:名無しの剣士
『期待してる! ルミナちゃん応援団結成の証』
898:名無しの斧使い
『これからも頑張れー! ルミナちゃん!』
899:名無しの筋肉
『ファイトー! ルミナちゃん!』———————————————————————
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