第1章 ゲームスタート編
第1話 『ログイン』
「もう……これってどこが電源のボタンになってるのよ!」
数日前にウマゾンで届き、梱包された段ボール箱から出したばかりのVRの機械に、少しイラつきながら初期設定を行う。
いかにも女子高生らしい、白とピンクを基調とした部屋の壁紙。中央には白い小さなテーブルと薄ピンクのビーズクッション。そして私がいるのはフカフカで大きめのベッド。もちろんこれも白ピンク。
え……着ている服も白ピンクって?
その通り!
私が今着ているモコモコは、ジェラポケのうさ耳フード付き長袖に、ミニ丈のズボンも白ピンク色だよ。
私は——
高校一年生で成績優秀、スポーツ万能。自分で言ってしまうと良くないかもしれないが、顔も可愛いし、スタイルもかなり良い方なんだよね。
唯一の悩みは大きすぎる胸が重いこと……。
iカップなんて肩が凝るのと、学校で男子や先生たちのいやらしい視線の的になることしか取り柄がない。
そんな生まれて一度もゲームとは無縁な生活をしてきた私が、VR機器を買うきっかけになったのは、大好きなお兄ちゃんと、クラスメイトでもある大親友からの勧めだから。
お兄ちゃんは、私とは正反対であらゆるゲームでトップランカーと呼ばれ、プロeスポーツ選手として勧誘を受けるほど。業界においてもその存在を知らない者はいないとまで言われるほど有名なんだよね。
私も、とあるファッション雑誌のコラムのゲーム特集ページに出てきた、お兄ちゃんのプレイヤーネームである『ナイトロード』の名前を目にしたことが何度かあった。
そんなお兄ちゃんから先日……
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「絶対面白いから、るみなもやってみようって」
「うっ……。私はゲームしたことないし、お兄ちゃんだけすればいいじゃん」
「いやいや、βテストを体験してきたから言わせてもらうけど、今回の新作VRMMOは面白さの次元が違うんだって! なっ? 兄ちゃんもできる限り手伝うからさ、るみなも『ユニークスキルオンライン』しよう」
「うぅ、はぁ……。お兄ちゃんがそこまで言うなら分かったよ。私もその『ユニクスなんとか』するよ」
「『ユニークスキルオンライン』だよ。よっしゃ。さっすが、るみな。俺の可愛い妹よー!」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん。私もう高校生なんだよ? 頭なでなでしないでよ!」
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……と、こんな具合ですることになったんだよね。
「えへへ……。お兄ちゃんの手、おっきくてあったかかったなあ———あっ!」
お兄ちゃんに撫でられたことを思い出しながらニヤけていると、ようやくVR機器の電源が付くようになった。
「やっと電源付いたよ。まだ始めてないのにここまでが長すぎだよ……」
枕元に置かれたスマホを確認すると、
ー西暦2222年2月2日(土) AM10:00ー
と表記されていた。
「午前9時に始まったから、もう一時間も遅刻してる!」
お兄ちゃんからは『先に始めてるから、最初のフィールドエリアに来たらオープンチャンネルで呼びかけてくれ!』と言われていた。
フィールドエリア?
オープンチャンネル?
——ナニソレオイシイノ??
正直こんな状態なので、ちゃんと出会えるか分からなくて不安だけど、これ以上待たせる訳にもいけないので最後の準備をしていく。
最近流行りの、横に細長いサングラスのような見た目のVRゴーグルを装着し、ゆっくりとベッドに横たわった。
「フルダイブ型の超高画質VR……ちょっとどきどきするなあ。——オンライン、起動!」
ゆっくり目を閉じてそう呟くと、真っ暗な中に流れ星が猛スピードでかけていくような情景が映り、やがて真っ白な世界がやってきた。
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【ユニークスキルオンライン】(USO)について
▷リアルさを追求し、アバターの見た目が、本来の自身から大きく変更ができない。
▷特色のある18種類の基本職業に加え、シークレット職業も存在する。
▷スキルには種類が3つあり、様々な理由で会得することができる。
①各職業に特化された基本のスキルである【ジョブスキル】
②ジョブスキルの上位に当たるスキルで、取得できる人数に制限のある【エクストラスキル】
③そしてゲーム内唯一無二のスキルである【ユニークスキル】
▷レベルUP時に入手できる『ステータスポイント』を使って、ステータスを自由に設定できる。
▷レベル上限がなく、育てれば育てるほど強くなっていく。
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