くるうる
タムラ ユウイチロウ
“くるうる”
脚指先の冷たいの
白く震えるたまゆらの
生きるに喩えて
犬になる夜になる
いつか必ず消えることそんなことすら笑う人
震える憂う厭わずに
空のグラスの純粋に
純水枯れもう随分と
埃もかぶれ息も切れ
ひとりの一人の独りの子
ふたつの眼と
メトロだけ
口に馴染まず
黒なずむ
泥む空から
砂降る日
木曜朝の霞を食って
ながらながらで済ますこと
ヤニの白
身体の命は炭のよう
例え話も灰のよう
遮光のカーテンカーディガン
半同伴者錯乱は
この春この夏この冬は
秋から月の近くて遠い
つっかけかけたごみ捨て場
あれは蝙蝠不具の骨
中腹まぐわる木に登る
恵みの巡る昼の星
キャビネット
浜辺の模様海の国
青の先
カルメより
捲る袖
心臓握る箱の声
船を漕ぎ
夢の爪
微睡み惑い微笑んで
テレビの前で
暮れるまで
夕を縫う
吸う乞う揺蕩う頃に幌(ころ)
史実は挫けて寒くて裂いて
毛糸の帽子
先月のこと
くるうした
訊ねて来る雨
くるうした
のろいこともろいこと
くるうる
強く風吹き
くるうる
くるうる タムラ ユウイチロウ @you_monodiary
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