その14 愚者の結末
その14
これはとある愚者の結末。
救い様のない敗北者が辿った末路
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「やっと、出れた…」
俺はやっと解放された。
それなら、やる事は決まっている。
「遥、君に会いに行こう!」
ああ、自由とは何て素晴らしい物なのだろうか?
これで、俺と遥を邪魔する鎖は消え去った。
邪魔をする奴と言えば…
「高橋、お前だけだ。」
だが、今は不味い。
おそらく、何も知らない無能な警察や裁判所に俺は見張られているだろう。
直ぐに動くのは悪手すぎる。
ああ、何て悲劇だ。
「だが、待っていてくれよ、遥。必ず俺が助けてあげるからね。」
その時が楽しみだ。
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あれから、数年が経った。
引越とかでまた離れ離れにされたが、何とかこの町へ戻る事も出来た。
調べた所、遥はまだこの町に居るらしい。
勿論、あの憎き高橋もだ。
「じゃあ、彼女の家ヘ…」
そう思い、彼女の家ヘ向かっていると…
「お父さん、お爺ちゃん家はまだ?」
「ああ、まだまだだな。」
「ふふ、頑張るわね。アナタ…」
前の方に、子供連れの男女が見える。
そして、俺は固まった。
あの女…いや、あの娘は!?
「遥…」
じゃあ、隣の男は…
「た、高橋…」
やはり、高橋だった。
そして、気が付いてしまった。
つまり、あの小さな子供は…
「そ、そんな…」
そ、そんな訳がない。
遥が、俺以外と子供なんか作る訳がないんだ。
これは悪夢か?
いや、違う。現実だ…
「許さない…」
おそらく、高橋が俺が居ない隙を突いて、遥を誑かしたのだろう。
そうでなければ、こんなおぞましい光景になる現実はありえない。
早く、アイツを殺せる物を取りに行かなくては…
「待ってて、遥!俺がアイツを殺してやるから!」
だが、俺は周りが見えていなかった。
走り出した途端、キキィという音が聞こえてくる。
その音の方へ向くと、目の前には大きなトラックが迫っており…
「あっ…」
意識が遠くなる…
痛い…誰か……助けて………
は、遥…………
終わり
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