脈無しだと思ってた幼馴染と､俺の彼女がヤンデレで修羅場ってる件

第43話 母親

第43話

とある昼頃…

「しかし、刃に彼女が出来てるとはねぇ。」

「またその話かよ…」

俺が入院している病院に見舞い人が来ていた。

何でこんな時間に…

「てっきり、鉋ちゃんと結婚まで行くかと…」

「ぐっ、色々…色々あったんだよ！察しろ！ていうか、何で来たんだよ、母さん！」

仕事はどうしたんだよ、社会人…

ていうか、忙しいんじゃなかったのか？

「愛しの我が息子が刺されて入院したんだから、見舞いに来るのは当たり前でしょうが！それに仕事はちゃんと終わらせてきたわよ！全く、あの鬼畜上司め…。本当は直ぐに行きたかったのに…」

そ、そうなんだ…

しかし、何で俺の周りの女性陣は俺の心をナチュラルに読んで会話してくるのだろうか？

本当に謎だ…

「ねぇ、その遥ちゃんって娘が来るまで居座って良い？」

「居心地が悪いから帰ってくれ。」

「解った、帰らない！」

「話、聞いてた？」

「ええ！」

「滅茶苦茶良い笑顔で言ってるよ、この母親…」

我が母親ながら、性格悪いなぁ…

俺と瑠璃が母さんに性格面で似なくて本当に良かった。

顔だけは似てるらしいけど…

まぁ、父さんの顔なんてあんまり覚えてないし、ほぼ写真でしか知らないけどさ…

「ねぇ、刃。」

「何？」

「この娘が遥ちゃん？」

「はぁ、どういう…何で俺のスマホ使えてるんだよ!?」

「開けるの簡単だったよ。もう少しちゃんとした奴にしたら？」

しましたよ！した結果がこれなんだよ！

何で、この母親は直ぐに解いちゃうかなぁ…

「そうだよ、悪いか？」

「いや、別に。…どうやってタラシこんだの？」

「実の母親から出る発言とは思えない。」

何つう事を聞いてくるんだ、この母親は…

普通に恋愛して付き合っただけです。

最近、修羅場が増えたけど、ラブラブですから、どうか気にしないで下さい。

もう、厄介事はこれ以上要らないのです。

「ん？この娘…」

「どうかした？ていうか、早く返せ。俺は今からシカ娘するんだ。」

「いや、ちょっと気になってね…」

母さんは真剣な顔をして、遥の写真を眺め続ける。

そして、「もしかして…」とか、「嘘でしょ…」とか気になる事も呟いている。

マジで何かあったのか？

「ねぇ、この娘の名字ってどんな名前？」

「名字？南原だが…」

「南原…はぁ、やっぱりね。」

と、溜息を漏らす。

南原がどうかしたのだろうか？

「縁っていうのはそうそう消えないのね…」

「どういう意味だ？」

「此方の話よ。いや、貴方の話でもあるわね。」

と、何か考える素振りを見せた後、徐に俺へ告げる。

「気を付けなさい、刃。私の予感が当たっていれば、この娘の父親は面倒な人よ。」

続く