その12  私は私の為に

その12


はぁ、嫌な予感するなぁ…


思わず、溜息をついてしまう。


「あの、鉋さん…」

「何、瑠璃ちゃん?」

「何で私とお兄ちゃんの家に居るんですか?」

「別に良いじゃん。幼馴染だし…」

「良くありません!」


私達は刃の部屋でゴロゴロしていた。


今日は刃が遥ちゃんの家に行っている。


少し、いやかなり面白くないが、その間は刃成分が補充できるので満足だ。


「開き直るとこうも面倒なんですね、性格ブス女。」

「貴方も隠さなくなったわね、莉奈ちゃん。憎しみを込めて、遥先輩と呼んでも良いのよ?」

「絶対に嫌ですね。親しみや憎しみのどっちを込めても、私が先輩とつけて呼ぶのは先輩だけです。」


そんな会話をしていると…


ゾクッと、背中に悪寒が走る。


何これ、嫌な予感がする。


「遥さん?」

「どうかしたんですか?まるで、何か嫌な感じがした様な顔して…」


他の娘達は気が付いてない様だ。


すると、いきなり電話がかかってくる。


「えっ、誰!?」


びっくりしたが、よく見ると南原 遥と書いてある。


ああ、そう言えば今日の昼に交換したわね…


でも、一体何の用だろう?


「もしもし?」

『ねぇ、刃帰ってきた!』


いきなり、そんな事を聞いてくる。


しかも、何処か焦ってる?


「帰ってきてないけど?」

『そうなの!?何か嫌な予感がして、メールや電話を掛けたんだけど、全然返って来なくて…』


それは可笑しい。


刃はどんな状況でも、五分以内にはきちんとした物を返してくれる人だ。


それに、遥ちゃんも嫌な予感がしたらしい。


まさか…


「ごめん、一旦切るね!」

『えっ、ちょ、待っ…』


私は電話を切り、急いで莉奈ちゃんの方を見る。


「ねぇ、ストーカー。」

「いきなり失礼ですね、そんな気持ち悪い堕落した奴等と一緒にしないで下さい。」

「り、莉奈…」


何を言ってるのだろう、この娘?


って、それは今は良い。


「刃君の居場所、解る?」

「解りますけど、何かあったんですか?」

「嫌な予感がする。少し手伝いなさい。」


そう告げると、少しの間考える様な顔をして…


「解りました。貴方に乗っかるのは癪ですが、手伝いましょう。」


続く

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