幕間5

その11 ほんの少し、昔の話を

その11


刃side


…これは数年前の話。


俺が遥と初めて出会った時の話。


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「少し良いですか?」


隣に座っている女の子が話しかけてくる。


その時、初めて彼女の顔を見る。


「あっ………」

「どうかした?」

「い、いや、何でもない。どうかしたのか?」


ほんの少しだけ、見惚れてしまった。


さっき、勝手にフラレたばかりなのに、チョロすぎるだろ、俺…


はぁ…


「ねぇ、恋ってなんだと思う?」

「はぁ?」

「ごめんね、初めて会う人に聞く事じゃないと思うけど…」


全くだ、いきなり過ぎる。


だが、隣の彼女は真剣そうな顔だ。


仕方がないか…


どんな脈絡でこうなったかは解らんが、俺も真面目に答えるとしよう。


「はぁ、身勝手な気持ちの押し付け合いじゃないかな?」

「押し付けあい?」

「そうだろ?好き、嫌い、皆に色々な感情がある。それを押し付け、押し付けられを繰り返して、その先に一つだけでも重なる物があったら、それが恋なんだと思う。」


…我ながら、恥ずかしい持論だ。


まぁ、重なる物がないと解ったから、俺は失礼したのだが…


「まぁ、俺は出来なかったけど…」


ヤベ、失言した…


「それって、もしかして…」

「…ノーコメントで。」

「う、うん。」


再び、沈黙がこの場を支配する。


き、気不味い…


恥ずかしい持論を言ったり、こんな気不味い空気の中に居たり、何なんだよこれは!


罰ゲーム?罰ゲームなの?


「ねぇ…」

「何だ?」

「あの…少し、良い?」


またか!


今度は、今度はどんな辱めを受けさせるつもりだ?


「私と友達になってくれませんか?」

「えっ、友達?」


この流れで友達!?


ていうか、そんな感じで友達って作る物なのだろうか?


親しい相手が幼馴染と妹の親友しか居ないから、よく解らん…


まぁ、でも…


「それ位なら、喜んで。」

「ありがとう!」


ぐっ、笑顔が眩しい!


浄化されそう…


何でそんなに嬉しそうなんだ?


続く

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