クラス転移したら俺だけ【万物の管理者】称号・スキル持っていたので隠そうとしたけど隠しきれませんでした

Leiren Storathijs

プロローグ①

 俺の名はクロガネ 神威カムイ。ちょっと変わった名前以外、何変哲もない極普通の高校生。どうしてこんなヤバそうな名前をつけられたのか。

 苗字は仕方が無いにせよ、神威なんて。俺は特別な環境の血を引く一族の子かなにかなのだろうか。


 勿論そんなことは無く、全くもって祖先の話を聞いてもそれらしい話は無い。強いて言えば祖先も強そうな名前だったな……?


 そんなことはさておき、俺は今学校で自己学習中だ。特にこれといった授業が無い時に、教師が黒板に『自己学習』と書き、必要な人間は各自勉強をし、特に済んでいる人間は読書なり暇つぶし、そして必要無いと思う奴は机に突っ伏して寝る。

 俺は寝ていた。勉強なんてやる気出ないし、暇つぶしと言えど教室内ではやることも限られる。つまり寝るのが最適なんだ。


 休み時間では無いのでみんな静かで、寝ている俺は一切の雑音は感じられず、気持ち良く寝ていられる。ただ寝ているだけというのも本当の暇であって、授業の時間が終わるまできっちり寝ていると、逆に返って疲れる。

 そうは言ってもやることが全く思い付かない俺は寝るしか無かった。


 そう気持ち良く寝ていて、暖かい陽射しが窓から差し込む時だった。

 突如、クラスの一人が大声を上げる。俺はその声にびっくりして目を覚ました。


「うわぁ! な、なんだよこれ!」


 クラスの全ての目が大声を上げたクラスメイトに刺さる。何事だと野次馬が出来、寝ていたのに叩き起こされた気分の者達がゾロゾロと。

 俺も何となく気になり野次馬の方へ視線を移す。そこには人が集まる中心辺りから眩しい光が漏れていた。


 何かのマジックだろうかと、くだらないと思いながら俺は視線を自分の机に戻すと、急に床から突き上げるようにして地面が揺れ始める。


 最初は小さな地震かと思ったが、それは次第に大きくなっていき、教室で立つことさえ難しくなっていく。

 俺も椅子から転げ落ち、流石にヤバいかと思い慌てる。


「おいおい! やばいぞこれ! 待て待て待て!」


 それは地震なんてものを遥かに超える強さで、視界は上下に小刻みに揺れ、次には左右に揺れ、次には机や各自の筆記道具が天井まで吹き飛ぶ。

 あまりの揺れに更には壁まで吹き飛ぶ生徒が現れ、教室内は瞬く間に阿鼻叫喚の事態になってくる。


「これ死ぬかも! おおおぉ!? うわああああぁぁ!!」


 最後には俺の身体が浮き上がり、窓に向かって投げ飛ばされようとした所で、急激に景色が教室という落ち着いた空間から、黄金の装飾が煌めく王宮のような空間に、一瞬の暗転を通して切り替わった。


「うわあああああああ!!! あ……?」


 最悪過ぎる目覚めだ。頭をどこかの柱にぶつけたのか頭痛が酷い。霞む視界で辺りを見回せば、所々にうつ伏せに倒れた学生服を着た生徒が多数。一部だけ最早瞳孔が開ききってしまっている人間もいた。


 俺は頭を押さえながら、目を擦ってゆっくり立ち上がる。


「っ────。何なんだよ全く……」


 俺は暫くして意識をはっきりさせると、そこは黄金色の壁や床が煌めき、どれも高級そうな骨董品ばかり置いてあり、そこが恐らくどこかの王宮だと分れば、俺はその空間の奥の方を見る。

 足元からずっと奥まで赤い絨毯が伸びており、その最奥には如何にもな冠を手元に抱えた王様らしい王様が玉座に片肘を突いてどっしりと座っていた。


 年齢は二十代か。金髪で誰が見てもイケメンだと分かる顔立ちで、王様というより乙女ゲーに出てくる王子様と言っても差し支えないほどに整った顔をしている。

 身体も筋肉質で恐らく脱げば誰もが憧れる程の筋肉を持っているであろう。


 そんな王様はまだ状況を掴みきれていない俺を含める全ての生徒を無視して静かに口を開く。


「少し荒々しい召喚だったようだな……」


 その声に反応するように一人の生徒が声を上げる。


「おい! ここは何処なんだよ!? お前は誰だ! 何が起きてるんだ!」


「少し黙れ……」


「え……あ……」


 ……? 今何が起きたのだろうか? 怒鳴り散らす生徒に対し、王様を口を開けばすんと大人しくなってしまった。

 黙る生徒はまるで魂でも抜き取られたかのように膝から体勢を崩し、床に伏せてしまった。しかし死んでいないことは誰にでも分かる感じだった。


「よく来た転移者達よ。突然の召喚に驚く者、混乱する者はいるだろう。これより状況を把握してもらうためにどんな問いも答えよう。では発言の許可をする」


 深く透き通った声で、声を聞いている間恐怖というより頭が真っ白になり、何も反論する気が起きなかった。

 王様が発言を許すと言った瞬間、身体に生気が急激にもどったような感覚で、まるでさっきまで夢を見ていたかのような気分だった。


 そうすれば、生徒達は次々と質問を始める。

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