Ⅳ ペティの不思議な力
ペティの歌を聞いていた白馬の瞳に光が戻ってきて、立ち上がろうともがき始めます。でも途中まで起き上がったものの、ずくに大きな音を立てて倒れてしまいました。
馬たちがヒヒーンと一斉に声を上げ、馬小屋は大変な騒動になってしまいました。
サム爺が一頭ずつなだめて回って落ち着かせてから、ペティの頭にポンと手を置いて声をかけます。
「もういいんだ。このまま眠らせてやろう」
「で、でも……」
「それが一番良い方法なんだ」
「でも……」
ペティは悲しくなりました。そしてサム爺はなんて薄情なんだろうと思いました。
しかしサム爺の顔を見て、それは間違いだったと気付きます。
彼の彫りの深くて小さな目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちていたのです。
突然、ゴーッと強い風が戸を叩き、続いて何かが壁にぶつかる大きな音が鳴りました。
馬たちは一斉に声を上げ、サム爺は慌てた様子で周りを見回します。
そのときペティは一人、天井を見上げていました。
「お母様の言葉の意味が分かったわ。そう、私の望みは……」
ペティは白馬の折れた前脚の前に両手を付き、顔を寄せていきます。
「お、お嬢様……いったい何をして……」
「もう泣かなくていいのよサム爺。お馬さんの脚は私が治すから」
それからペティは舌を出し、折れた前脚をぺろっと舐めました。
「やめてくださいお嬢様! そんな汚いことろを舐めたりしたら病気になってしまいますから!」
サム爺は慌てて止めようとしますが、ペティは馬の脚を舐め続けます。
するとどうでしょう。白馬の呼吸が穏やかになり、みるみるうちに傷が癒えていくではありませんか。
そう、ペティはお母様が残してくれた
夜半過ぎに嵐は過ぎ去り、朝からぽかぽかな太陽の光が馬小屋のある牧草地に降り注いでいます。
すっかり元気になった白馬は、他の馬たちと一緒にニンジンをおいしそうに食べています。
サム爺の笑顔をみて、ペティは幸せな一杯な気分になりました。
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