第2話【ボロ家生活】

父と離婚する前は新築のマンションに住んでいたのだが、引っ越した先は古い木造2階建ての長屋だった。


1階の間取りは、6畳の部屋が1つある。これが両親の部屋だ。

その奥にもう1つ6畳の空間があり【リビング】【キッチン】【風呂】があった。

洗濯機は外にしか置けず、仕切られたベランダもないので衣服泥棒が出ることも多かった。


そして2階には4畳の部屋が2部屋。これが兄弟の部屋。

確かこんな間取りだったと思う。とにかく狭かった。


それから、家が狭いとかはどうでもよくなるくらいにこの家の夏は灼熱、冬は極寒だった。

トイレはほぼ外にあるので、夏は45度くらいあったと思う。

ひとたび気張ろうものならシャツ1枚を変えなければならないほど大量の汗を掻く。


この間取りとボロさで家賃が10万円もした。べらぼうに高かった。もちろん駅から近いわけではない。

なんとも敷金、礼金がなしの代わりにこの値段なのらしい。


ただエアコンはあったし、狭いとはいえお風呂もあった。

ただどうしても慣れないことがあった。それは虫の多さだ。

特にゴキブリとコバエが多かった。どの家庭で見たことはあると思うが僕の家はなかなか酷かった。


母が買ってきたゴキブリ粘着シートを台所の下の収納ボックスに設置して、1晩待って翌日見てみると『何も捕れていないなぁ~』と思いつつ持ち上げると全体が真っ黒なだけでそこには大量のゴキブリが捕らえられていた。


さらにシュークリームを食べている途中で何か用事を思い出し、半分残して置いておいた。

用事を済ませるとシュークリームのことはすっかり忘れていた。それから数日経ったある日。ふと黒いボールが目に入った。

それを手に取ろうと手を伸ばしたその時、大量のコバエが部屋中に飛び回った。数百匹は間違いなくいた。シュークリームにコバエが群がっていたのだ。

これは今思い出しても寒気がする出来事だ。


このように押し入れにスズメが入ってたり、見たことのない虫が這ってたりと1年中なにかしらの生き物が家にはいた。

外で見る分には虫は平気なのに家にいる虫はどうもダメみたいだ。


とにかく引っ越したいなとずっと思っていた。


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