ノアボックス・ワールド~創造者のアトリエ~

ユウタ

序章【工房主のスローライフ?】

第1話「とある若き工房主」

国王陛下

「何?あの公爵があの青年を追い出しただと!?」


一人の国を担う男がそう言って怒号を上げる。

怒り狂い、彼の目の前で地に伏せる男ににらみつける。

そんな男に一人の身なりの正した宰相らしき男が彼の前に声を掛ける。


宰相ドモン

「如何致しましょう?かの工房主は気が変われば場所を転々としてしまいます」


「分かっている。ドモンよ、兵を使ってこやつを城外へ摘まみ出せ!あの御方の工房は我々の保護下とする!」


宰相の名をドモン=クーゲル。

とある一人の男を宮殿の一部の仕事場を与えた凄腕でキレ者でもある。

彼は国王と呼ばれるその男の指示に従い地に伏せていた情けない男を兵を使って外へ連れ出す。


「畏まりました。お前達、この男を追い出せ!」


アドミン

「お、お待ち下され!国王陛下!どうか!どうか慈悲を~!!!」


近くに居た兵達に捕まれ、連行される。

そしてその男の慈悲を乞うそのわずらわしい声が遠のく。

国王陛下は息を吐き


「こうなってしまった以上・・・引き留めるのは無理かもしれんな・・・そうだ!」

そして国王はその場に立ち、どこかへ去っていくのだった。


一方、とある青年が荷物を持ったまま歩いていた。

彼の名は――――ノア、ノア=クラーク。

とある工房の主だ。


ノア=クラーク

「あー、どーしよ・・・せっかく国王から受け取った工房なのに・・・まぁいいや」


俺はそう言って歩き始める。


「そうだ、せっかくだから道中で素材を確保して村に寄ってから創造クラフトしよ」


そう言い、俺は早速一本道をひたすら歩いて行く。

俺の趣味は絵を描く事、物を創る・・事、ただそれだけ。

何故か俺のその腕が評価されて数年も経たずに王族に雇われ、とある工房を構えた。

・・・・はずだった。


まだまだ若く、将来有望であるとされている俺を妬んでいる人が居たらしく、その人に工房を乗っ取られ、挙句の果てには言われも無い罪を叩きつけられ、俺を工房から追い出した。


幸い、国王に揃えて貰った材料を使って不思議な鞄を作った。

斜め掛けも出来るし、手に持って運べるし、リュックサックの様に背負って運ぶ事の出来る鞄だ。


そのかばんの中に道具や材料、完成品など。

工房内にあった様々な物を全て詰め込んだ。

今、背負っているこの不思議な鞄は中身が特殊な魔法で出来ている為、容量は無限大なのだ。


「さて、そろそろ到着するぞ~」


俺はそう言ってワクワクしながらその村の中に入る。


村長フォス=ドミニオン

「おや、これはこれは。珍しいお客さんですな」


「どうも、工房アトリエを営んでいるノアです。ここに宿ってありますか?」


立ち寄ったその村の村長らしきその人に話しかける。

村長さんは俺みたいなよっぽど珍しい人が来た所為なのか、凄い見ている。


「ふぉっふぉっふぉっ。宿はありませんが・・・貴方のような旅人は珍しい。ぜひ家へおいで下さいませ」


村長さんに言われて俺は快く受け入れた。

そして中にはもう一人、男性が居て――――村長さんが代わりに教えてくれた。


「おぉ、丁度良かった。ウチの息子での。嫁さんと夫婦で領主をしてな」


村長がそう紹介すると、領主であるその男性はその場で立ち


領主アドロ=ドミニオン

「父の居るこの村を管理している領主のアドロです。どうぞよろしく」


俺は早速、旅の目的の話をしながら用意してくれていた食事にありつけていた。


「成程、気が変わった時だけ別の場所に足を伸ばすと」

「えぇ、でもまぁその時が来るまでアイテムやら何やら色々と用意してあるんで、良ければ」


二人は興味を持ち、俺のカバンの中から一部のアイテムを取り出した。

銅剣と鉄の剣を取り出した。


「この二つはこの村の近くにある坑道の洞穴がありますよね?そこらの者から出るアイテムと――――」


俺はそう言いながらもう一つのアイテムを取り出す。

液体の入ってある瓶。

そう、ポーションだ。

但し俺の持っているのは緑色の液体で回復系のポーションだ。


「ここらの雑草の一部もこのようなアイテムで作れるんですよ。なんで――――」


――――俺と同じ【錬金魔法】が扱えそうな子を紹介してください。――――

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