第6話 実行

「あそこだな!」


 ダークドラゴンの背中に仁王立ちで乗っているゲルディは目的地にまもなく到着する。


「ま・・魔王様・・怖い〜、もう少しスピードを・・」


 いつの間にかコウモリモンキーがダークドラゴンの背中に乗っていた。


「ハネザル!貴様いつの間に乗っているんだ!さっさと自分の羽で移動しろ!」


「あはは、あはは、楽ちん楽ちん。ゲルディ様の乗り物楽ちん楽ちん」


 よく見るとダークドラゴンの背中にネバネバした液体が付着していた。


「ハネザル・・・貴様!」


ゲルディはコウモリモンキーの首根っこを掴み、持ち上げた。


「あははあはは、あはは??」


「ダークドラゴン召喚は、デュエルと新婚旅行に行く為に苦労して覚えた自慢の乗り物だ!にもかかわらず、貴様のヨダレで汚しやがって!」


「あわわ、あわわ、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、メンゴ!」


ゲルディはそのままコウモリモンキーを振りかぶり、片足を上げた。


「先陣を切って頭を冷やせ!」


ゲルディはコウモリモンキーを進んでいる方向へと投げ飛ばした。





「弓隊!打て〜!」


シュシュシュシュシュシュシュシュシュ!


 弓隊50人は迅速に1人5本を射る。目標はいくつか命中した様だ、そのまま徐々に高度が下がっていく。


「騎馬ナイト隊、ランスを投げろ!」


 目標に向かい騎馬ナイト隊はランスを投げ続ける。やがてシーフの罠エリアまでランスを突き投げる事が出来た。


「さあ、巨大罠を開放しろ!」


シーフ50人で仕上げた巨大落とし穴に目標は落ちていく。


「さあ、魔法使い職の皆んな、魔力全開で攻撃せよ!魔力の回復も忘れるな!」


ドーン ドドーン バコーーン クボーン


ウギャーーーーーーーー!!


「おおお!!魔王ゲルディが苦しんでいるぞ!後一息だ、頑張れ!」


ドーン ドドーン バコーーン クボーン


「よし!最後だ!ワキヤ隊長、目標が穴からよじのぼって来たところで首を獲るのだ!」


 全員が大穴の周りを囲い、待った。リゾットは自分の予想通りに進んで満足した。他の全員もこれで世界平和が訪れると確信した。


筈だった。


 穴からなかなか出てこない。周りがザワ突き始めた。

 剣を片手に待ち構えているワキヤ隊長は、ふと周りを見渡す。


 弓隊がいて、騎馬ナイトがいて、シーフ隊がいて、魔法使いがいて、回復補助がいて、リゾット様がいて、魔王がいる。皆んなしてまだ穴下を覗き込んでいる。


!!


え?魔王がいる?


 ワキヤ隊長はもう一度見る。

やはりだ、なぜか魔王が皆と同じ様に穴下を覗き込んで見ていた。


「いかん!リゾットさ・・・」



シュパン!!




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