第19話 2日目は佐賀からスタートです

「福岡に続いてやってきたばーい佐賀!ということでこちら佐賀県の遊園地ですね。お子さん連れの方が多くいらっしゃってますね」


子どもからめちゃくちゃ指さされたり、近くで収録ガン見してる人がいたり、とかなり注目を浴びてるなぁ。

まぁSNSのフォロワーは2桁のアイドルですからね、こんなに注目されるなんて有難いことですよ。


「へぇ…お子さんがいらっしゃる方には満足なアトラクションと設備ですね」



中高生向けではないかもしれないが、子どもにとって十分なアトラクション、そして遊び道具が整っている。大人にとっては、子どもの喜ぶ姿が1番のアトラクションなわけだし、すごくいいところだなと思っていたら足もとから声が聞こえてきた。


「ねぇねぇ遊ぼ」


幼稚園児くらいの子がいた。

私としては問題ないんだが、収録は大丈夫かスタッフさんに視線をやり確認をとる。

OKと合図を確認したので腰を下ろし目線を合わせる。


「うん、いいよ〜」


「これで遊ぶ!」


私の返事に嬉しそうにした直ぐに、三輪車を指さして、着いてこいと腕を掴まれ引っ張られる。もちろん非力な私でも、動かないくらいの力強さだが、この子に従って歩く。


お眼鏡にかなった三輪車に股がってこちらを見つめてきたので


「押せばいいかな?」


と尋ねると、すごい勢いで首を降るので面白くて笑ってしまう。

やっぱり子どもは無邪気でいいな。ちなみに私の同級生の3割ほどは子持ちの母となっているらしい、と言う情報を先日母から受けたことは記憶の彼方に置いてきた。


三輪車を押して前に進む。私たちにとっては、普通に走るよりもちょっと遅いくらいのスピードでも楽しそうな表情を見せてくれた。


「もっとはやく!」


「しょうがないな〜…いくよ?」


「うおーはやーい!」


周りの子ども達も私たちの様子を見て、三輪車に乗りたいと親に強請りだした様子がみられた。うん、すごい微笑ましい光景だ。

そしてこの子はすごく喜んでくれたみたいで、私も嬉しくなった。


「びゅーんって!ちょーはやかった!」


大興奮している様子で遊んだ甲斐があったというものだ。ここまで遊んでおいてなのだが、この子の保護者らしき姿が見えないので、この子の保護者はどこにいるんだろうか。何となく迷子な気がするけど。


「ねぇねぇ、パパかママはどこにいるの?」


「えーとね、わかんない」


迷子ですね。スタッフさんと視線が合い同じことを考えたみたいだ。ならばやることは1つ。急いで迷子センターに連れて行くのみ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る