底辺アイドル四月一日さんは、元親友の人気アイドル八月一日さんを見返したい
@kinokogohan
1章
第1話 底辺アイドルのプロローグ
芸能人…実際に芸能人に会ったことのない人からすれば、テレビや雑誌で見かけて「あっカッコいい…」、「あっカワイイ」とシンプルに、俯瞰的な立場から感想が出るかもしれない。
憧れの対象というよりも、俯瞰的になれるような少し離れた場所にいる存在ゆえに崇拝の対象にもなりえるのではないか。芸能人というジャンルにはアイドルだってもちろん含まれるはずだろう。だからこそ、アイドルという言葉は崇拝される人、という意味を持つのではないだろうか。
そんなアイドルに限らず、芸能人に実際に会ったことのある人、会いに行った人は、「オーラを感じた」、「こんなに幸せになった瞬間は初めて…一生推す」などと後に言うことが大多数であろう。
そして、「実際に会ったことのある人」の一部に私が含まれる。ただ私はオーラを感じたわけでもないし、一生推すと思ったわけでもない。
ただ「こんな風になりたい」と幼心ながらに思った。だから、恐らくこれは偶像崇拝の一種なのではないか。
たしか、たまたま家族で遠出した先での出来事だった。
幼稚園の年長組の時だ。ある程度の年齢だったので完璧に記憶しているわけではないが、多少は記憶されている。
あの日は、ショッピングモールのアリーナで大きな音がする方に駆けていき、そこで歌って踊っているアイドルを見たのだ。
はっきりいって全国的な知名度はない、アイドルマニアしか知らないようなアイドルだと思う。彼女たちを成長した私はテレビや雑誌で見かけたことはないのだ。
何ならばその市に住む、アイドルマニアしか知らないような限定的な知名度しかなかったのではないか。
とまあ、記憶のことを思い耽ってみても、数十年以上もの時間が経った今となっては、私もはっきり思い出せない。そもそもグループ名だってわからないから。だから、今となってはそのアイドル達を知る由もない。
ただ、視線が釘付けになり、こんな風になりたいと思ってしまったことは今でも明確に覚えている。幼いながらも笑顔を振りまく姿に魅了されたのだ。当時の彼女たちの心境は一切分からない。もしかしたらステージ上では明るく振る舞いながらも、心の中では「つまらない」、「やめたい」と思っていたかもしれない。内面なんて本人にしかわからないから考えても無駄なわけだが。
それでも、彼女たちに私は心惹かれたのだ。
今まで生きてきて視線が釘付けになったのは、この時と高校受験の合格発表時の掲示板で自分の受験番号を探したときくらいだと思う。
芸能人になる人…いや、なれる人と言うべきだろうか。その人達は多分2種類に区別されるのだと思う。
1つは夢や憧れがある人。この部類に私は含まれる。
よく雑誌などのインタビュー記事で「この世界にはいったきっかけは?」なんて質問は、大抵の場合、夢や憧れがあって…以下略という回答が大多数を含む(私調べ)
そしてもうひとつは夢や憧れがなくても才能がある人。
シンプルにいうとスカウトされたり、親に勝手に応募されてたりする人だ。この手の人たちは売れる率が高いし、売れなくても野心がないから、直ぐにこの世界から身を引くことができる人だ。
さて、才能がないものの芸能人、アイドルに憧れてしまった一般人の辿る末路をお教えしましょう。
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