第66話 新たな出会い

「……なるほど、そういうことね」


 ソールから話を聴いたルナはそう言うと、


「だったら、素直にソールがやりたいことをやればいいじゃない。イーユの町でだって、そうやったからこそみんなを救えたんだもん。グランさん達だって、きっとそう言うハズよ」


 と、ルナは強気にソールを鼓舞した。


「………そっか。ありがと、ルナ」


 勇気づけられたソールは徐ろに歩き始めた。その口元に穏やかな笑みを零しながら。


「行こう。この町の異変を解決する為に」


 そう言ったソールの眼には、輝きが宿っているのがルナには分かった。






「さて、これからどうするか……だね」


 勇んで町の住民達に話を聞き回ったものの、誰もが「あの火の玉は不気味だ」「作物がいつの間にか急成長していて気味が悪い」「つむじ風が一日中吹いている時があって外に出るのが怖くなったことがある」といったように、怪奇現象に一貫性を見つけることが出来ず、ソール達の中で謎は深まるばかりだった。


「聞いた話の中にあった怪奇現象はみんな時間も場所も、目撃した人もバラバラ……何も共通点が無いような気がするわね」


「そうだね」


(もし、これがまた魔導士絡みの事件だとしても、妙に一貫性が無さすぎる気がする……)


 ソールはあごに手を当てて考え込む素振りを見せる。


「やっぱり、に落ちないって感じ?」


 ルナがソールの顔を覗き込み、訊く。


「うん……仮に魔導が関係しているとしても、こんなに特徴って違うものなのかなって」


 ソールはその一点に違和感を覚えていた。これまでソールとルナが接触した魔導士は、炎を使うヴァーノ、土を使うギル、偽物ではあったが、天候のルーンを扱うキース……。どれも皆、扱うものが限定されていたのをソールは気付いていた。その点において、今回の怪奇現象が魔導士の意図的な工作とは考えられないと感じていた。


「確かに……あと、魔導士の仕業だったとして、目的って何なんだろ?」


 ルナがふと疑問を口にする。


「カクイの件みたいに、この町の人達を陥れようとしている、のかな……」


 何も分からないまま、推測だけが先行していく。二人が考え込んでいると、


「……?ねぇソール、あれ」


 と、ルナがあることに気が付いた。ルナの指し示す方をソールが見てみると、そこには一人の少女が広場で遊んでいるのが眼に入った。


「あの子がどうかしたの?」


 ソールがルナに尋ねる。


「分からない。けど、何故か放っておけないような感じなんだよね」


 と、あやふやながらルナが答える。


(……言われてみれば、他の子どもだってこの町には居たはずなのに、あの子は一人で遊んでる。……何かあるのかな?)


 ソールもルナが言ったように、何処か少女の様子が気になっていた。


「……!」


 すると、ソール達に気付いた少女は何処かに走り去ってしまった。


「あっ、ちょっと待って!」


 ルナが少女を呼びながら走って後を追いかける。しかし、通りに差し掛かった途端、少女の姿を見失ってしまった。

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