第11話 王立図書館

 ケイト老人から聴いた話を頼りに、二人は『王立ジーフ図書館』にやって来た。道中、昨晩の襲撃者達に気を付けようと周りを気にしながら歩いてきたが、取り越し苦労のようだった。二人はホッと安心しつつ、図書館の入り口へと入っていった。


「すごい、大きいねぇ」


「うん、想像以上だよ……」


 図書館は外観からもその大きさは普通の民家の五倍ほどの大きさだと二人は思っていたが、いざ中に入ってみると、その大きさに関心さえ覚えた。図書館自体は、一階から三階までの構成となっていた。フロアの一面は二人の背の倍くらいの高さを誇る本棚が並んでおり、それが奥まで続いているのだった。


「……」


「ソール、ねぇソール!」


「……!あ、ごめん。つい見とれてた」


 幼少期から読書が好きだったソールにとって、このような景色は壮観としか言いようがなかった。ゆえに、魅入ってしまっていたがルナの声でふと我に返る。


「もう……。まぁ、昔から本好きだったもんね。でも、今日は適当に本探してもダメなんだからね」


「分かってるよ、もう大丈夫だから……」


 若干の申し訳なさを残しつつ、ソールはルナと共に目的の本を探すことにした。






 どれほど時間が経ったのだろうか。二人は時の経過も忘れ、本探しに没頭していた。


「ソール、あった?」


「……本はあるけど、どれもこれも微妙な感じ、かな」


 別に目的の項目が載っている本が見つからない、という訳ではなかった。しかしながら、その書物のそれぞれが占星術、占い、星の起源などなど……、目ぼしい情報は限りなく少なかった。


「……ん?」


 どれもあまり良い内容が載っていないと思っていた中、ソールはふと手に取った本に何かの予感を感じた。その本は『時計百科事典』と題してあるものだった。かなり昔の本なのか、基本的に保存状態は良かったものの経年劣化で所々の綻びが目についた。


「……色んな時計について書いてあるな」


 少年は夢中になりパラパラとページを捲り読み進める。


「……これは」


 すると、予感が的中したのか、気になる文献を目にした。


「ルナ、これ見てみて」


 ソールはルナにさっと本を手渡して見せた。


「なになに?……これ、もしかして……」


 そのページには、『魔時計』というものについての記述が載っていた。ルナは読み上げながら確認する。


「『魔時計』……。魔力の込められた時計であり、魔法使いのみが作り出すことの出来る特殊な時計。その時計に選ばれた者は、宿った魔力によって魔法を自在に操ることが可能である……?」


「何か、気にならない?」


 お互いに確認しながら、ソールはルナに訊いた。


「……そうね。今の状況と合致はしてるかも」


 そう言いながら、ルナはページを捲ろうとする。






 しかし、次のページは、ビリビリに破り取られていたのだった。

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